ソナタ5作と室内楽から楽聖の筆致の変遷をたどる
難易度の高い現代曲と並行してバッハの鍵盤作品にも注力し、最新録音の『フーガの技法』でも好評を博したばかり。そんな近藤伸子が新たに2019年からスタートさせたベートーヴェン作品のコンサート・シリーズ「Kondo Nobuko Plays Beethoven」も4回目を数えるまでになった。
今回は楽聖自身が“幻想曲風ソナタ”と呼んだ、全楽章を切れ目なく最終楽章に流れ込ませる作品27の2曲、第13番と第14番「月光」を中心とするプログラム。初期の大作である第4番、すべてが明快でリラックスした雰囲気に包まれながら、革新性も感じさせる第9番と第10番をあわせて、どのように読み解いていくのか。“ソナタ全曲演奏”に向けてのターニングポイントにもなり得るだけに、期待が高まる。また当シリーズのお楽しみである室内楽としては、“傑作の森”とも呼ばれる中期に書かれたピアノ三重奏曲第5番「幽霊」を披露。昨年に続いて佐藤まどか(ヴァイオリン)や河野文昭(チェロ)との快活なアンサンブルが楽しみだ。
文:東端哲也
(ぶらあぼ2021年11月号より)
2021.11/8(月)19:00 東京文化会館(小)
問:東京コンサーツ03-3200-9755
https://www.tokyo-concerts.co.jp