
右:アラスデア・ビートソン ©Aga Tomaszek
ヴィクトリア・ムローヴァが日本で4年ぶりにリサイタルを行う。ソ連の伝説的奏者レオニード・コーガンの弟子であり、1980年シベリウス、82年チャイコフスキーの両コンクール優勝後、世界で活躍を続けるムローヴァは、ゆるぎない技術と円熟味を増す音楽性、時代やジャンルを自在に超えるレパートリーを持つ“ヴァイオリン界の女王”。そんな彼女は、2027年のベートーヴェン・イヤーにちなんでベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全曲の世界ツアーを行い、その一環として日本にやってくる。2024年に完結したソナタ全集の録音では、2020年刊行のベーレンライター版の楽譜を使い、プレーンガット弦とピリオド弓による演奏で新たなベートーヴェン像を描き出したムローヴァ。4年前のリサイタル前半ではこのスタイルでベートーヴェンのソナタが演奏されたが、ピリオド・スタイルの探求を経て、今回はモダン楽器での待望の全曲演奏となる。
ソナタ全10曲は3つのホールで分けて演奏される。東京オペラシティ コンサートホールでは、ヴァイオリンとピアノが拮抗する大曲、第9番「クロイツェル」など。横浜のフィリアホールでは名作op.30の第6〜8番など、3公演の中で最も曲数が多いプログラムで聴き応えたっぷり。大阪のザ・フェニックスホールは誰もが知る第5番「春」と、ムローヴァの敬愛する第10番など。ピアノは、録音や2022年公演でも共演しているアラスデア・ビートソン。ベートーヴェンの革新性が蘇る2人の鮮烈な演奏をお聴き逃しなく。
文:榊原律子
(ぶらあぼ2026年10月号より)
ヴィクトリア・ムローヴァ ヴァイオリンリサイタル
~オール・ベートーヴェン・プログラム~
2026.11/17(火)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
問 東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999
11/19(木)19:00 横浜/フィリアホール
11/21(土)15:00 大阪/ザ・フェニックスホール
問 パシフィック・コンサート・マネジメント03-3552-3831
https://www.pacific-concert.co.jp
※公演によりプログラムは異なります。詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。

榊原律子 Ritsuko Sakakibara
東京生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科美学美術史学専攻修士課程修了(音楽学)。編集プロダクション勤務を経て、2004年よりフリーランスのライター・編集者として音楽・舞台芸術のジャンルを中心に活動。各地の劇場やホールの友の会会報誌・情報誌の編集制作に長年携わる。現在はアーティストへのインタビュー、公演プログラムの編集、曲目解説の執筆などを行っている。
