
『ぶらあぼ』誌面でご好評いただいている海外公演情報を「ぶらあぼONLINE」でもご紹介します。
[以下、ぶらあぼ2026年6月号海外公演情報ページ掲載の情報です]
曽雌裕一 編
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今年も昨年と同じお願いから。9月は多くの劇場で新シーズンの開幕となる一方、音楽祭も、8月から継続するものを含めてまだ多数にのぼる(本文参照)。そのため、公演データ数は今年も飽和状態となり、紙幅の関係で、残念ながらデータの掲載を諦めたものもかなりある。どうか事情をご了解・ご容赦の上、ホームページ等での補足確認をお願いしたい。
ところで、注目公演の前に、まずは9月に留意すべきトピックからご紹介。一つ目はケルン歌劇場。2012年から大規模な改修工事に入っていた同劇場が、2026年9月、何と14年もの時を経てついに再開場に至ることとなった。オッフェンバッハ広場に同劇場が戻ってくる。まあ「御同慶の至り」と言う以外にない。晴れのリオープン最初の演目は、現音楽監督オロスコ=エストラーダ指揮によるR.シュトラウスの「ばらの騎士」。どんな反響が起きるか楽しみだ。二つ目は、これとは逆の話題。スイスのジュネーヴ大劇場がすでに大規模改修工事に入っており、2026/27シーズンには同劇場は、Bâtiment des Forces Motrices(BFM)(ジュネーヴ軍需工場を改装した劇場)というところで公演を行う。予定される改修期間は2027年6月末までということだが、往々にして期間は延びることがあるのでご注意のほど。
さて、注目公演は、まずは音楽祭から。9月に関しては「グラーフェネック音楽祭」、「ムジークフェスト・ベルリン」、「ブレーメン音楽祭」、「ボン・ベートーヴェン音楽祭」、「バイロイト・バロック・オペラ・フェスティバル」、「ルツェルン音楽祭」、「プロムス」、「ドヴォルザーク・プラハ音楽祭」の各演目がそれぞれ素晴らしい。特に「ムジークフェスト・ベルリン」、「ルツェルン」、「プロムス」あたりでは、ウィーン・フィル、ベルリン・フィルをはじめとした大メジャー級オーケストラが連日登場。今年のウィーン・フィル9月ツアーの指揮はトゥガン・ソヒエフが担当する。ソヒエフは本当にウィーンとの関係が良さそうだ。ベルリン・フィルの方は、9月上旬はペトレンコが2つのプログラムを携えてルツェルンやロンドンに客演するが、「ムジークフェスト・ベルリン」では、ブレット・ディーンが自作を含めた作品の指揮をするほか、久々、サイモン・ラトルがこの音楽祭で同オケを指揮してファリャの「三角帽子」やヤナーチェクの「タラス・ブーリバ」を演奏する。イングリッシュホルンのヴォレンヴェーバーがミリケン作曲の新作協奏曲を吹くのも管楽器ファンにとってはグー! ちなみに、ラトルはフライブルク・バロック管を指揮してこれら複数の音楽祭に登場し、ヴァイオリンのイザベル・ファウストと共にシューマン等を演奏する。これは大いに注目すべき公演だ。
一方、オペラ劇場で今シーズン一番の注目は、ベルリン・ドイツ・オペラ。ベルリン州立歌劇場に比べて、いつも企画面、キャスト面での劣勢が語られていた同劇場だが、新シーズンから、ジュネーヴ大劇場のインテンダントであったアヴィエル・カーンを新総監督として招くやいなや、その上演演目がいきなりキレキレ状態。9月は、スザンネ・ケネディ演出、マキシム・パスカル指揮で、シュトックハウゼンの「光から水曜日」。7つの連作オペラ「光」の第3部にあたる5時間以上にも及ぶ大作で、弦楽四重奏は、4人の奏者が4機のヘリコプターに分乗するという奇作でもあるが、実際にどうするかはともかくとして、いやはや、この曲を開幕プレミエに選ぶだけで尋常ではない。この他、アン・デア・ウィーン劇場のカヴァッリ「カリスト」、ハンブルク州立歌劇場のヴェルディ「マクベス」、フィレンツェ歌劇場のベルク「ヴォツェック」、パリ・オペラ座の現代作品「ブラック・パール」などが演出含めて興味深い。「ルツェルン」や「シャンゼリゼ劇場」でのケント・ナガノによる古楽スタイルのワーグナー「神々の黄昏」も要注目。「バイロイト・バロック」のヘンデル「フロリダンテ」ももちろん見逃せない。
これに加えて、「ブレーメン音楽祭」でのエベーヌ弦楽四重奏団のベートーヴェン全曲演奏や、観世能楽堂のヨーロッパ公演なども注目公演。
(曽雌裕一・そしひろかず)
(コメントできなかった注目公演も多いので本文の◎印をご参照下さい)

