ノット&東響の4作目のCD。20世紀初頭に新時代を拓いた“動と静”の名作を並べ、2つの道筋を対比させた意義深い1枚だ。「春の祭典」は、全体のマッシヴな音像と細部のクリアな動きを両立させた、鮮烈かつ豊潤な快演。しなやかに躍動するリズムが光り、第2部後半の迫真性も耳を奪う。「浄められた夜」は、ダブつきのない清冽なアンサンブルで“モダンな抒情味”を表出した好演。いずれも当コンビの好調ぶり(東響の各ソロも秀逸)を如実に示している。“ピュア・ワンポイント録音”によるナチュラルなサウンドも特筆もの。オーディオ的な妙味も十分だ。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2018年5月号より)
【information】
SACD『ストラヴィンスキー:春の祭典、シェーンベルク:浄められた夜/ノット&東響』
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」
シェーンベルク:浄められた夜(弦楽オーケストラ版)
ジョナサン・ノット(指揮)
東京交響楽団
収録:2017年7月、ミューザ川崎シンフォニーホール(ライヴ)
オクタヴィア・レコード
OVCL-00658 ¥3200+税