
文:編集部 写真提供:九州交響楽団
九州交響楽団は10月20日、2027年度の主催公演ラインナップを発表した。会見には首席指揮者の太田弦をはじめ、理事長の五島久、専務理事の本田一郎、音楽主幹の柿塚拓真が登壇。9回の定期演奏会をはじめ、九州を代表する楽団らしい多彩なラインナップが披露された。今季の主催公演では、同じ作曲家の異なる作品を組み合わせたプログラムを12公演で展開。それぞれの作曲家の知られざる魅力に迫る構成が特徴となっている。
首席指揮者4シーズン目を迎える太田は、定期演奏会2回、「天神でクラシック」全3回、熊本・大分での特別演奏会など、計8公演を指揮する。4月の定期では、ラフマニノフのピアノ協奏曲第4番(独奏:務川慧悟)と交響曲第1番という、比較的演奏機会の少ない2作品に挑戦。太田は交響曲第1番について「20代の若さでこの曲を書いたというのは本当にすごいこと。薄めていない原液みたいな曲で、むき出しのラフマニノフを楽しんでいただけるのでは」と期待を寄せる。11月には、継続して取り組む英国音楽シリーズの第2弾として、エルガーのチェロ協奏曲と交響曲第1番を披露。
天神の中心地に位置し、席数700ほどのFFGホールで開催される「天神でクラシック」では、ベートーヴェンの偶数番号の交響曲(第8番、第4番、第2番)と、シベリウスの交響曲第3番、第4番、第6番を組み合わせ、さらに日本人作曲家による室内楽作品を紹介する。
客演では、6月の定期にシルヴァン・カンブルランが登場。得意とするメシアンとブルックナーの交響曲第9番を組み合わせ、カンブルランらしい独特な世界観を演出する。また、終身名誉音楽監督の小泉和裕は2028年1月の定期でリストの「ファウスト交響曲」を指揮。2026年度の「ダンテ交響曲」に続き、リストの壮大な管弦楽を聴かせる。
九響ミュージック・アドバイザーの篠崎史紀は、平日午後のシリーズ「九響アフタヌーンセッション」に登場。ベートーヴェンの《フィデリオ》序曲、ピアノ協奏曲第5番「皇帝」(独奏:入江一雄)、交響曲第5番「運命」を、全曲指揮者なしで、コンサートマスターとしてオーケストラを率いる。
北九州演奏会には、3人の若手日本人指揮者が登場。6月は、大井駿が桂冠コンサートマスターの豊嶋泰嗣を迎え、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲やムソルグスキー「展覧会の絵」を指揮。松本宗利音は11月の「第九」、そして坂入健司郎が1月のニューイヤーコンサートを指揮する。
太田は、いまの九響について次のように語った。
「就任から2年半が経ち、九響とならどんな作品にも挑戦できるという手応えを感じています。何か一つの方向を極めるのではなく、幅広い音楽を自在に表現できる、懐の深いオーケストラでありたいと思っています」
また会見では、楽団の経営状況についても報告された。コロナ禍以降、厳しい財政状況が続く中、昨年10月に経営改革プランを発表。依頼公演の拡大や協賛企業・後援会員の獲得などに取り組んだ結果、2026年度は赤字幅が前年度の同時期から4500万円縮小するなど、改善の兆しが見え始めている。一方で、依然として赤字は続いており、今年4月からは3ヵ年の中期経営計画をスタート。収益基盤の強化に加え、企画力や情報発信、地域との連携にも力を入れ、収支の均衡と持続可能な楽団運営を目指すという。さらに、九州におけるプロオーケストラとしての存在意義を改めて見つめ直し、楽団員、事務局、経営陣が一丸となって、地域に音楽を届け続けるための新たな指針づくりも進めている。

九州交響楽団
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