2026年6月の海外公演情報

Wiener Staatsoper Photo by Dimitry Anikin on Unsplash

『ぶらあぼ』誌面でご好評いただいている海外公演情報を「ぶらあぼONLINE」でもご紹介します。
[以下、ぶらあぼ2026年3月号海外公演情報ページ掲載の情報です]

曽雌裕一 編

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 先々月号の「4月の見もの・聴きもの」のコメント欄で、ピアニストのグリゴリー・ソコロフのことを取り上げた。事実上ヨーロッパのみで活動を続けるこの不世出の巨匠ピアニストを聴くためにわざわざ渡欧する音楽マニアは少なくないが、そのソコロフの春夏シーズンのプログラムに何とシューベルトの最後のピアノ・ソナタ第21番が載った。大事件だ。というのも、ソコロフは最近、小曲集を組み合わせて一つのプログラムにする傾向が強く、大曲を披露する機会は明らかに減っていた。それが突然のシューベルト最後のソナタ。文字通り大曲中の大曲。6月分の本文では、ケルンのフィルハーモニーでの公演しか掲載できなかったが、3月・4月・5月・6月とヨーロッパ各地で毎週のように演奏会を開いている。渡欧のチャンスのある方には、ぜひこのピアニストを一度実演で聴いてみていただきたい。現代にこんな完璧な演奏技術と表現力を持った名匠がいたのか、と驚くに違いない。次のWEBページで演奏会予定を調べることができる。https://www.grigory-sokolov.net/concerts

 さて、興奮を少し冷まして、オペラの注目公演から。2027年のウィーン・ニューイヤー・コンサートの指揮者として発表されたトゥガン・ソヒエフは、最近オペラを振る機会は多くないが、6月はチューリヒ歌劇場でワーグナー「タンホイザー」の新演出を振る。これは楽しみだ。同じワーグナーでは、ミュンヘン・オペラ・フェスティバルでプレミエとなる「ワルキューレ」も大注目。旬の演出家として話題のトビアス・クラッツァーがミュンヘンで展開する「リング・ツィクルス」の第2年目。ちなみにミュンヘンのオペラハウスでは、メータ指揮のプッチーニ「トゥーランドット」という注目公演もある。ちなみに、メータはミュンヘン滞在中、ミュンヘン・フィルにもバイエルン放送響にも登場するという活躍ぶり。健康状態に心配が出なければ良いのだが。そのバイエルン放送響では、オペラではないが、ラトルがエルガーのオラトリオ「ゲロンティアスの夢」を振るのも要注目。

 オペラに戻ると、ベルリン州立歌劇場でロトが指揮するドビュッシー「ペレアスとメリザンド」、ケルン歌劇場とフランクフルト歌劇場で競合するロッシーニの「タンクレディ」、ミラノ・スカラ座でチョン・ミョンフンの振るビゼー「カルメン」、ボローニャ歌劇場のニーノ・ロータ「ナポリの百万長者」(指揮は今月の読響定期に代役として急遽登壇したジェームズ・フェデック)、ケント・ナガノの振るシャリーノの現代オペラ(フェニーチェ歌劇場)、シャンゼリゼ劇場のモーツァルト「後宮からの誘拐」(エキルベイ指揮)、ファビオ・ルイージが振り、ピットにはコンセルトヘボウ管が入るヴェルディの「シモン・ボッカネグラ」(オランダ国立オペラ)などなど多彩な演目が並ぶ。もちろん、ハレ・ヘンデル音楽祭で上演されるヘンデルの「リナルド」、「アリオダンテ」、「アグリッピーナ」や「ラダミスト」なども当然注目。「モーツァルトフェスト(ヴュルツブルク)」でルセが指揮するモーツァルト「皇帝ティートの慈悲」やミンコフスキ指揮のヘンデル「オルランド」なども見逃せない。

 音楽祭では、「ライプツィヒ・バッハ音楽祭」で、7,000票以上の世界中のバッハ・ファンの投票により決定する「バッハ・カンタータ TOP 50」という人気投票が目新しい企画。このランキングに応じて演奏を担当する布陣が、コープマン、ヘレヴェッヘ、ガーディナーなどこれまた豪華。この他の音楽祭(「キッシンゲンの夏音楽祭」、「モーツァルトフェスト」、「ルートヴィヒスブルク城音楽祭」、「スメタナ・リトミシュル音楽祭」など)は本文を参照願いたい。オーケストラでは、ヴィオッティ指揮ウィーン・フィルのツェムリンスキー「人魚姫」、ポペルカ指揮ウィーン響のシューマン「楽園とペリ」、ロト指揮のシュターツカペレ・ベルリン、フルシャ指揮のベルリン・フィルとミュンヘン・フィル、ウェルザー=メスト指揮のベルリン・フィルやNDRエルプフィル、ムーティ指揮のフランス国立管などなど、注目公演のごく一部に過ぎない。

(曽雌裕一・そしひろかず)
(コメントできなかった注目公演も多いので本文の◎印をご参照下さい)