P.ヤルヴィがパリ管の音楽監督時代に録音し、2018年に発売された、フランスのオーケストラ史上初のシベリウス交響曲全集からの分売。これは、パーヴォ自身が語る「私はシベリウスの演奏伝統など信じない。パリ管にはそうした伝統がないからこそ、作品をありのままに捉え、その深奥に偏見なく迫れる」の言葉通りの、既成概念を覆す快演だ。両曲ともに、耳新たなフレージングやバランスやテンポ変化に溢れた、豊麗で熱く深く雄弁な“交響音楽”が展開されており、“パリ管ならではのシベリウス”を存分に堪能させてくれる。2曲の組み合わせも初聴に最適。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2023年2月号より)
【information】
SACD『シベリウス:交響曲全集Ⅰ/パーヴォ・ヤルヴィ&パリ管』
シベリウス:交響曲第2番、同第5番
パーヴォ・ヤルヴィ(指揮)
パリ管弦楽団
収録:2015年3月、パリ(ライブ) 他
ソニーミュージック
SICC 19062 ¥2750(税込)