下野竜也 × 群響の「惑星」―戦時下の英国で生まれた二つの音楽

下野竜也 ©Shin Yamagishi

 GTシンフォニック・コンサートは、群馬交響楽団と高崎芸術劇場の共同主催による演奏会シリーズ。今年12月に行われる第5弾では、下野竜也が群響を指揮してホルストの組曲「惑星」を演奏する。

 第一次世界大戦のさなかに作曲された「惑星」は、宇宙というより占星術がテーマ。スペクタクルな作品ではあるけれど、不安感やオカルティズムも濃厚に立ちこめる。この曲を得意とする下野は、群響から気宇壮大なサウンドを引き出しつつ、陰影深さも織り込んでこよう。

 曲目プログラムに一ひねり加えてくるのが、下野の流儀。そのアイディアと引き出しの多さは、国内随一だ。今回は、この「惑星」に組み合わせるのは、ウォルトンの「スピットファイア」前奏曲とフーガ。映画『スピットファイア』の音楽を担当したウォルトンが、後に演奏会用作品として編曲した作品だ。第二次世界大戦中に公開されたこの映画は、戦闘機の開発者とパイロットとの交流を描いた、英国版『プロジェクトX』。その音楽は、愛国的で晴れやかな行進曲で開始。後半のフーガは、戦闘機を組み立てる工場のシーンに使われた音楽だという。

 いずれも世界大戦中に書かれた英国作品だ。どこか冷静に世界を見据えているようなホルスト作品。そして元気良く、聴き手に勇気を与えてくれるようなウォルトンの音楽。これらは英国音楽の2つの側面をも表していよう。マエストロ下野による、気の利いた、かつ気の張らないレクチャーも楽しみだ。

文:鈴木淳史

(ぶらあぼ2026年10月号より)

GTシンフォニック・コンサート vol.5 下野竜也の「惑星」レクチャー・コンサート
2026.12/19(土)14:00 高崎芸術劇場
問 高崎芸術劇場チケットセンター027-321-3900
https://www.takasaki-foundation.or.jp/theatre/


鈴木淳史 Atsufumi Suzuki

雑文家/音楽批評。1970年山形県寒河江市生まれ。著書に『クラシック悪魔の辞典』『背徳のクラシック・ガイド』『愛と幻想のクラシック』『占いの力』(以上、洋泉社) 『「電車男」は誰なのか』(中央公論新社)『チラシで楽しむクラシック』(双葉社)『クラシックは斜めに聴け!』(青弓社)ほか。共著に『村上春樹の100曲』(立東舎)などがある。
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