
『ぶらあぼ』誌面でご好評いただいている海外公演情報を「ぶらあぼONLINE」でもご紹介します。
[以下、ぶらあぼ2026年8月号海外公演情報ページ掲載の情報です]
曽雌裕一 編
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まず最初に、先月号からの情報修正に関して2点ほどお知らせをしておきたい。第一点は、ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団。当初、10月に複数の公演を指揮するはずであった首席指揮者のヨアナ・マルヴィッツが公演をキャンセルし、指揮者や曲目が変更となった。マルヴィッツはベルリオーズの「幻想交響曲」を振る予定だったので、いささか残念だ。続いて第二点は、スペインのリセウ大劇場。10月から11月にかけて上演されるベッリーニの「カプレーティとモンテッキ」の演出は、当初、ミラノ・スカラ座のプロダクション(A.ノーブル演出)を招聘する予定だったが、制作条件の調整により、2024年にリエージュのワロニー王立歌劇場でプレミエとなったA.アギレラ演出のプロダクションが採用されることとなった。演出家名が先月号と変わっているのはそのためなのでご留意のほど。
では、11月の注目公演。ここのところ、ベルリン州立歌劇場では11月に「バロックターゲ」を開催するのが例となっている。今年も、プルハー指揮のラルペッジャータ、カプアーノ指揮のレ・ミュジシャン・デュ・プランス、ファソリスやモールズ指揮のベルリン古楽アカデミー等々、魅力ある演目が並ぶ。コアな古楽マニアしか知らないような超最先端のアンサンブルが出演するわけではないが、比較的よく知られた定番チームだけに、ある種の安心感もある。なかでも、ヘアハイムの演出するカヴァッリの「カリスト」はなかなかの聴きものだ。他に古楽系では、レザール・フロリサンを支える2人の指揮者、クリスティとアグニューが、同じ演奏会に一緒に登壇してモンテヴェルディを演奏するという非常に珍しい公演もある。ピション指揮ピグマリオンの公演もウィーンやパリで行われる。
一方、演奏機会の稀な逸品オペラとしては、フランクフルト歌劇場でのショーソンの「アルテュス王」。このオペラを生で見られる機会はそうそうあるまい。同様に、チューリヒ歌劇場で採り上げるラフマニノフの3つのオペラも貴重な公演機会。チェルニャコフの演出なので見所も多いだろう。演出的に要注目のプレミエ公演は、同じチューリヒ歌劇場でのR.シュトラウス「エレクトラ」(L.シュタイアー演出)とバイエルン州立歌劇場のワーグナー「ジークフリート」(T.クラッツァー演出)。特に前者は東京交響楽団の新音楽監督としても絶好調の船出を切ったロレンツォ・ヴィオッティの指揮、後者は来年の「ニーベルンクの指環(リング)」4部作の完成を前にした3作目という注目点がある。一方、この11月に「リング」の完成を見るのがパリのバスティーユ・オペラ。10月にプレミエとなる「神々の黄昏」を含めた4作チクルス公演が11月に2回行われる。指揮は、すでにバイロイト音楽祭にも登場しているエラス=カサド、演出は鬼才ビエイトで、ジークフリートを歌うのはシャーガーと要所はきちんと押さえられている。
他方、ヤナーチェク好きにとっては、チェコのブルノで開催される国際ヤナーチェク・ブルノ音楽祭は見逃せないだろうし、メトロポリタン歌劇場でプレミエとなるヤナーチェクの「イェヌーファ」もグリゴリアンの名唱が大いに期待される。その他のオペラでも、ウィーン国立歌劇場のR.シュトラウス「ナクソス島のアリアドネ」(ウェルザー=メスト指揮)、ケルン歌劇場のオッフェンバック「ホフマン物語」(ヘアハイム演出)、バーゼル歌劇場のシェーンベルク「モーゼとアロン」(B・フォン・ペーター演出)、トリノ王立歌劇場のマスカーニ「イリス」(バッティストーニ指揮)、リセウ大劇場のモーツァルト「皇帝ティートの慈悲」(サヴァール指揮)等々、注目作が続く。
オーケストラでは、来日公演直前のラトル=バイエルン放送響やティーレマン=シュターツカペレ・ベルリンもあるが、個人的には、M.パスカル指揮ウィーン響のベルリオーズ「レクイエム」やペトレンコ=ベルリン・フィルのレスピーギ「ローマ3部作」、ヘンゲルブロック指揮ベルリン・ドイツ響のシューマン「交響曲第4番(初稿版)」に興味を引かれる。ピアノの角野隼斗は、ソロに協奏曲に、もはや各地で引っ張りだこだ。
(曽雌裕一・そしひろかず)
(コメントできなかった注目公演も多いので本文の◎印をご参照下さい)

