
2027年4月から読売日本交響楽団の第1コンサートマスターに就任するヴァイオリニストの白井圭。その発表は大きな注目を集め、同楽団のSNSでは24万を超えるインプレッションを記録した。そんな白井が2023年から地元・藤沢で開催している「鵠沼音楽アカデミー」が、第5回の受講生を募集している。
このアカデミーの最大の特徴は、白井自身がアンサンブルの一員として受講生とともに演奏すること。楽器の技術指導ではなく、作品をともに探究し、音楽をつくり上げる過程を通して学ぶことを目的としていて、弦楽器に限らず、ピアノ、管楽器、声楽などすべてが対象。選考は学歴を問わず、名前を伏せた状態での白井自身による音源審査で行われる。応募締切は10月20日。

これまでの受講生の感想からは、このアカデミーならではの学びの深さが伝わってくる。
「音程やハーモニー、音の行く先を追うことの緻密な模索の時間を通して、徐々に耳が開いてくるような感覚がありました」
「こんなに苦手意識の強いモーツァルトを楽しく演奏できる日が来るなんて、夢のような時間でした」
また、白井がとにかく大切にしているのは、受講生一人ひとりが自ら考え、自由に音楽を試すこと。その姿勢に背中を押され、リハーサルでは受講生同士が積極的に意見を交わし、さまざまな表現に挑戦できたという。
「アイディアで溢れる濃密な時間の中で、色々な側面から一つの曲を作り上げていく面白さを実感しました」
白井の言葉も、受講生の心に強く残っている。
「録音機を聴くみたいな聴き方じゃなくて、どんな想いなのかを聴かないと」
単に正しい音を出すのではなく、音楽が何を語ろうとしているのかを感じ取り、共演者と共有する。その考えが、リハーサルを通じて育まれていく。

期間中には特別講師を招いた公開講座も開催される。昨年、一昨年に続き登壇するのは、フルート奏者で古楽演奏の第一人者 有田正広で、今回のテーマは「18世紀の舞曲形式とその演奏法」。前回の講座に参加した受講生からは、以下のような感想が寄せられている。
「モーツァルトについての考え方の幅が広がりました。修辞学は何となく知っている程度でしたが、少し知るだけでこんなにも世界が広く見えることに驚き継続して勉強したいと感じました」
「有田先生の講座は、一番楽しみにしていましたが、その期待をはるかに超えるほどの学びを得られました。書物から得られる知恵と、演奏家・実践者でなければ至り得ない経験との融合を感じられました」

受講料は破格の全日程で30,000円。食事の提供に加え、宿泊費や遠方からの交通費の補助も用意されている。このような手厚いサポートを実現しているのは、若い音楽家たちに充実した学びの機会を提供したいという白井の想いに賛同するサポーターたちだ。
会期2日目からはリハーサルが公開され、最終日には白井も参加する修了コンサートが行われる。第一線で活躍する音楽家と同じ目線で音楽に向き合い、仲間とともに新たな可能性を探る6日間。若い演奏家にとって、かけがえのない経験となるだろう。


文:編集部
第5回 鵠沼音楽アカデミー
【日程】
2027年2月23日(火・祝)~2月28日(日)
【受付締切】
2026年10月20日(火)
【会場】
レスプリ・フランセ(神奈川県藤沢市鵠沼海岸7-7-11)
【実施概要】
選抜された受講生に講師を加えたアンサンブルを5グループ作り、3回程度のリハーサルを行い、最終日のコンサートに臨みます。期間中はリハーサルのほか、公開特別講座、ミニレクチャーも開講予定。 ※2日目からはリハーサルを公開します。
【応募資格】
高校生~30歳程度。全日程(期間中10:00~20:00、最終日は15:00まで)確保できる方。
【対象楽器】
全ての楽器、声楽。ただしヴァイオリンまたはヴィオラが入るアンサンブル曲があること。基本的には個人での参加を想定していますが、講師が共に演奏できる編成の場合グループでの参加も可能。

