そのヤノフスキが、今夏にはバイロイト音楽祭、続く秋には日本でウィーン国立歌劇場日本公演と、舞台上演オペラの指揮に登場することになり、ファンの間では「いよいよ!」という声と期待が高まっています。
久々のオペラ上演の指揮に向かう心境や、《ナクソス島のアリアドネ》という作品への思いなど、ご自身の言葉から2回に分けて、ご紹介します。
なぜ“歌劇場との決別”を決めたか
「演出先行のやり方が間違っていると思ったからです」と、マエストロはきっぱりした口調で語ります。「16~17年前、ドイツの劇場で、あまりにも演出先行で音楽をないがしろにしたような舞台に直面したとき、もう決してピットに入るのは辞めようと決意したのです。私は決して新しいやり方のすべてがダメだというわけではありません。さまざまな変化が訪れることは当然です。ただ、それには文化としての内容がなければいけません。ドイツにおける“ムジークテアター”のやり方には、それが見られないことがあります。演劇とオペラはちがうものとしてあるべきなのです」
《ナクソス島のアリアドネ》との因縁!?
実はマエストロに“歌劇場との決別”を決意させたのは《ナクソス島のアリアドネ》だったそうです。マエストロにとってR.シュトラウスは大事な作曲家の一人であり、もちろん作品についても敬意を抱いているものということも、決意の要因であったでしょう。
「《ナクソス島のアリアドネ》は、《ばらの騎士》や《サロメ》ほどポピュラーではないけれど、とてもインテリジェンスのある作品です。R.シュトラウスと台本作家のホーフマンスタールが試みた実験という点でも興味深い。彼らは、コメディと悲劇を同時にやるというアイディアを実現しました。これは単なる筋立てというのではなく、劇場のリアリティに対する皮肉ということでもあったのです」
「プロローグでは特に、皮肉が込められたやりとりがあります。ドイツ人でもこの言葉のすべてを理解するのは難しいかもしれません(笑)。でも、日本では字幕もありますし、何より日本のお客さんは理解する知性を持っていると感じているので心配はありません」
《ナクソス島のアリアドネ》
作曲:R.シュトラウス
演出:スヴェン=エリック・ベヒトルフ
指揮:マレク・ヤノフスキ
■公演日程
10月25日(火) 7:00p.m.
10月28日(金) 3:00p.m.
10月30日(日) 3:00p.m.
会場:東京文化会館
■予定される主な出演
プリマドンナ/アリアドネ:グン=ブリット・バークミン
ツェルビネッタ:ダニエラ・ファリー
作曲家:ヴェッセリーナ・カサロヴァ
テノール:バッカス:ヨハン・ボータ
*表記のキャストは2016年4月8日現在の予定です。
■入場料(税込)
S=¥63,000 A=¥58,000 B=¥53,000 C=¥48,000 D=¥32,000 E=¥25,000 F=¥17,000
エコノミー券=¥13,000 学生券=¥8,000
●全公演のS〜D券
6月4日(土) 10:00より一斉発売開始
NBSチケットセンター:03-3791-8888
ウィーン国立歌劇場2016年日本公演公式HP
http://www.wien2016.jp/