フィガロの結婚

 “音楽の都”ウィーンで活躍した作曲家は数多いとはいえ、愛され度ナンバーワンといえばやはりモーツァルトでしょう。そしてその数々のオペラのなかでも高い人気を誇るのが《フィガロの結婚》です。世界中の歌劇場で上演され、最も愛されるオペラのトップ10に入るオペラです。設定を現代に置き換えたり、登場人物の“職業”を変えたり、さまざまな演出が行われています。そうしたなかで、伝説的な名舞台と認められるのが、今回上演されるポネル演出です。ウィーン国立歌劇場でも、2100年には新しいプロダクションが作られていますが、実はポネル版の復活を望む声も少なくないとか。い時間を経ても変わることのない人気を保っているのは、このプロダクションが、モーツァルトの描いた美しい音楽を鮮明に描き出し、観る者を魅了しているからに他なりません。視覚的な刺激や突飛な読み替えは、ときに、音楽に込められたドラマを見えにくくしてしまうこともあるのです。美しいアリアや重唱が目白押しのこのオペラは“正統派”の演出で味わいたいというファンが多いのも自然なことかもしれません。現在、この名版を楽しめるのは日本だけ!

 今回のウィーン国立歌劇場日本公演で《フィガロの結婚》を上演することは、指揮者リッカルド・ムーティの強い希望により決定しました。ムーティにとって《フィガロの結婚》は、自身が振ったモーツァルトのオペラの最初の作品でもあり、特別な愛着があるとのこと。また、作品の本質を探究するムーティは、歌詞の持つ意味やニュアンスのすべてを表現できることを重視し、あえて若手歌手をキャスティングしました。若手といっても、すでに国際的な活躍をみせている人ばかり。ムーティの指揮者としての手腕に加え、歌手の才能を見抜く慧眼が発揮される機会となります。

《フィガロの結婚》
作曲:W.A.モーツァルト
演出:ジャン=ピエール・ポネル
指揮:リッカルド・ムーティ

■公演日程
11月10日(木) 5:00p.m.
11月13日(日) 3:00p.m.
11月15日(火) 3:00p.m. 
会場:神奈川県民ホール

■予定される主な出演
アルマヴィーヴァ伯爵:イルデブランド・ダルカンジェロ
伯爵夫人:エレオノーラ・ブラット
フィガロ:アレッサンドロ・ルオンゴ
スザンナ:ローザ・フェオーラ
ケルビーノ:マルガリータ・グリシュコヴァ

*表記のキャストは2016年3月22日現在の予定です。

■入場料(税込)
S=¥65,000 A=¥60,000 B=¥54,000 C=¥49,000 D=¥33,000 E=¥25,000 F=¥17,000
エコノミー券=¥13,000 学生券=¥8,000

Photo:Wiener Staatsoper/Axel Zeininger

Photo:Wiener Staatsoper/Axel Zeininger