ワルキューレ

 ワーグナー作曲の四部作《ニーベルングの指環》は完成までに26年が費やされ、上演も序夜と3夜の4日がかかる超大作。ラインの川底で乙女たちに守られていた黄金は、ニーベルング族のアルベリヒに渡り指環になり、権力の象徴となった。以後、この指環は神々の長ヴォータンの手を経て巨人族のファフナーに渡り、最後には英雄ジークフリートの手に。彼の死後、再びラインの乙女たちに戻るというのが全4夜の物語です。
 そのなかで、最も人気が高いのが2日目にあたる第1夜の《ワルキューレ》。物語が神々の世界から、英雄が誕生する人間の世界へと移るからでしょうか。《ワルキューレ》では、指環は大蛇となったファーフナーに守られていて、権力をめぐる争いはなりをひそめている一方、登場人物たちの情感に重点が置かれます。愛情や苦悩という、もっとも人間的な感情にいろどられた全曲が、観る者にドラマティックな感動を与えることも人気の理由となっているようです。
 ウィーン国立歌劇場は、1980年以来8回の日本公演を行ってきましたが、《ニーベルングの指環》がプログラムされることは、かつてありませんでした。指揮者アダム・フィッシャーをはじめ、トマス・コニエチュニー、クリストファー・ヴェントリス、ペトラ・ラング、ニーナ・シュテンメ、ミヒャエラ・シュースター、アイン・アンガーといったワーグナーのオペラにおいてスペシャリストと認められている強力な歌手陣を擁し、満を持しての日本公演初の《指環》の一夜となります。
 
 《ワルキューレ》では、ヴォータンの子である双子の兄妹の強い愛をはじめ、神々の長であるヴォータンの父親としての愛と苦悩、そしてその娘ブリュンヒルデの愛と葛藤が次々と迫ります。豊かで官能的な音楽があふれる一方、勇ましいワルキューレたちが飛び交う音楽など、血沸き肉踊る聴きどころが満載です。


《ワルキューレ》
作曲:R.ワーグナー
演出:スヴェン=エリック・ベヒトルフ
指揮:アダム・フィッシャー

■公演日程
11月 6日(日) 3:00p.m.
11月 9日(水) 3:00p.m.
11月12日(土) 3:00p.m.
会場:東京文化会館

■予定される主な出演
ジークムント:クリストファー・ヴェントリス
ジークリンデ:ペトラ・ラング
ブリュンヒルデ:ニーナ・シュテンメ
ヴォータン:トマス・コニエチュニー
フリッカ:ミヒャエラ・シュースター

*表記のキャストは2016年3月22日現在の予定です。

■入場料(税込)
S=¥67,000 A=¥61,000 B=¥54,000 C=¥49,000 D=¥33,000 E=¥25,000 F=¥17,000
エコノミー券=¥13,000 学生券=¥8,000

Photo:Wiener Staatsoper/Michael Poehn

Photo:Wiener Staatsoper/Michael Poehn