リッカルド・ムーティ ロング・インタビュー(3)

ヴェルディとモーツァルトには時代を超えた大きな共通点がある

 田口道子氏により行われたリッカルド・ムーティのインタビューをご紹介する3回目では、「ヴェルディとモーツァルトには共通点がある」という興味深い内容です。
(インタビュー・文 田口道子 オペラ演出家)

リッカルド・ムーティ

リッカルド・ムーティ

◆マエストロ・ムーティといえばすぐに頭に浮かぶのはヴェルディですけれど、マエストロにとってモーツァルトもまた敬愛する作曲家だと伺ったことがありますが…‥

ムーティ:
ヴェルディはモーツァルトとは時代が異なる作曲家ですけれど、ヴェルディ作品の演奏もモーツァルトと同じく厳格さを伴った感情表現が必要です。ヴェルディというとどうしても大袈裟な感情表現や大声で叫ぶような歌い方をしがちですが、これは間違った解釈です。ヴェルディ作品はベルカントから生まれているのですから。もちろん、後に発展して1900年代に向かって行きますが、ヴェルディとモーツァルトには時代を超えた大きな共通点があると思います。それは言葉を大切にするということです。オーケストラも歌詞を理解して演奏しなければなりません。そして歌手をサポートしていくことが大切なのです。これは伴奏とは意味が違います。室内楽のように共に演奏するのです。一つの和音を弾くにしても、その重さや響きや音色はそれに伴う言葉の意味によって変わって来るのです。例えば「君を愛す」という意味の言葉の後の和音はたとえフォルテで書かれていても、「君を恨む」という言葉の後の音色とは同じではないはずです。同じ音を使った和音でも違う表情の音色にする必要があるのです。ですから指揮者は特に言葉の意味をよく理解して演奏しなければならないのです。そこがモーツァルトとヴェルディを演奏するうえで大切なことで、ワーグナーの作品とは大きく違うところです。ワーグナーも言葉は大切なのですが、オーケストラの構造自体が濃厚ですから交響楽的な音楽に言葉を乗せて行くことになります。ところが、モーツァルトとヴェルディの作品は言葉と音楽との縦の関係が重要で、この言葉のこの意味からこの音があるというほど言葉と音楽が深い関係にあるのです。特にモーツァルトのイタリア語台本による作品を演奏するためにはイタリア語を深く理解していなければなりません。一見単純に見えますけれど、奥が深くて大変難しいのです。
モーツァルトとヴェルディ

モーツァルトとヴェルディ

●リッカルド・ムーティ ロング・インタビュー(1)
●リッカルド・ムーティ ロング・インタビュー(2)

《フィガロの結婚》
作曲:W.A.モーツァルト
演出:ジャン=ピエール・ポネル
指揮:リッカルド・ムーティ

■公演日程
11月10日(木) 5:00p.m.
11月13日(日) 3:00p.m.
11月15日(火) 3:00p.m. 
会場:神奈川県民ホール

■予定される主な出演
アルマヴィーヴァ伯爵:イルデブランド・ダルカンジェロ
伯爵夫人:エレオノーラ・ブラット
フィガロ:アレッサンドロ・ルオンゴ
スザンナ:ローザ・フェオーラ
ケルビーノ:マルガリータ・グリシュコヴァ

*表記のキャストは2016年4月8日現在の予定です。

■入場料(税込)
S=¥65,000 A=¥60,000 B=¥54,000 C=¥49,000 D=¥33,000 E=¥25,000 F=¥17,000
エコノミー券=¥13,000 学生券=¥8,000


ウィーン国立歌劇場2016年日本公演公式HP
http://www.wien2016.jp/

【チケット発売情報】
●2演目・3演目セット券 [S, A, B券] NBS WEBチケット&電話受付

4月23日(土)10:00より
NBSチケットセンター:03-3791-8888


●全公演のS〜D券
一斉発売開始
6月4日(土) 10:00より