《フィガロの結婚》〜 ムーティが選んだ逸材たち

 ウィーン国立歌劇場によるモーツァルトの《フィガロの結婚》といえば、誰もが王道中の王道たる上演を期待するはず。イタリア・オペラの中には、一人のプリマ・ドンナの存在によって“決定打”が打たれる作品も見られますが、モーツァルトのオペラはそうはいきません。次々に繰り出される典雅な旋律や美しいアリア、重唱の数々の魅力は、すべての登場人物が高い技量を備え、さらにアンサンブルとしても高いレヴェルを築かなければならないのです。

 アルマヴィーヴァ伯爵役のイルデブランド・ダルカンジェロは、近年、飛躍的な成長を遂げたといえます。演じる役も、声や表現の深まりとともに進化させ、モーツァルトなら《ドン・ジョヴァンニ》のレポレロからドン・ジョヴァンニへ、《フィガロの結婚》もフィガロから伯爵へといった具合に。ダルカンジェロが「マエストロからモーツァルトを歌うことを学んだ」と語るのは今回の指揮者リッカルド・ムーティ!

イルデブランド・ダルカンジェロ

イルデブランド・ダルカンジェロ

 ムーティからの教えを語る歌手は数多く存在しますが、マエストロはかなり早い段階で彼らの才能を見抜いていたことは証明されています。たとえばムーティ・ファンなら今回の伯爵夫人役エレオノーラ・ブラットの名前を2014年ローマ歌劇場日本公演《シモン・ボッカネグラ》のアメーリアとして記憶しているはず。日本公演ではバルバラ・フリットリの病気による急遽の代役となりましが、実はローマ歌劇場での2012/13年シーズン開幕で歌い、大好評を博したのはブラットでした。

エレオノーラ・ブラット

エレオノーラ・ブラット

 実はエレオノーラ・ブラットのほか、フィガロ役のアレッサンドロ・ルオンゴ、スザンナ役のローザ・フェオーラは、2014年秋にムーティがローマ歌劇場を離れる前に、2016年5月同劇場での《フィガロの結婚》にキャスティングした歌手たちです。ルオンゴは1978年ピサ生まれ。2011年にはラヴェンナ音楽祭でムーティと共演しています。フェオーラは2014年の来日リサイタル時、ムーティに認められてザルツブルク精霊降臨音楽祭に出演した“ブレイク直前のイタリアの美声”と紹介されました。また、ケルビーノ役のマルガリータ・グリシュコヴァは2012年のウィーン国立歌劇場日本公演でも同役を歌い大絶賛されました。前回はまだほとんど無名だった彼女ですが、今夏はザルツブルク音楽祭でもケルビーノで出演する予定です。ムーティの審美眼が証明される優れた逸材たちが揃います。

左より:アレッサンドロ・ルオンゴ/ローザ・フェオーラ/マルガリータ・グリシュコヴァ

左より:アレッサンドロ・ルオンゴ/ローザ・フェオーラ/マルガリータ・グリシュコヴァ

《フィガロの結婚》
作曲:W.A.モーツァルト
演出:ジャン=ピエール・ポネル
指揮:リッカルド・ムーティ

■公演日程
11月10日(木) 5:00p.m.
11月13日(日) 3:00p.m.
11月15日(火) 3:00p.m. 
会場:神奈川県民ホール

■予定される主な出演
アルマヴィーヴァ伯爵:イルデブランド・ダルカンジェロ
伯爵夫人:エレオノーラ・ブラット
フィガロ:アレッサンドロ・ルオンゴ
スザンナ:ローザ・フェオーラ
ケルビーノ:マルガリータ・グリシュコヴァ

*表記のキャストは2016年3月22日現在の予定です。

■入場料(税込)
S=¥65,000 A=¥60,000 B=¥54,000 C=¥49,000 D=¥33,000 E=¥25,000 F=¥17,000
エコノミー券=¥13,000 学生券=¥8,000


ウィーン国立歌劇場2016年日本公演公式HP
http://www.wien2016.jp/

【チケット発売情報】
●2演目・3演目セット券 [S, A, B券] NBS WEBチケット&電話受付

4月23日(土)10:00より
NBSチケットセンター:03-3791-8888


●全公演のS〜D券
一斉発売開始
6月4日(土) 10:00より