《ナクソス島のアリアドネ》で響くウィーン初演以来100年をともにしてきたハーモニウム!

 ウィーン国立歌劇場日本公演の開幕を飾った《ナクソス島のアリアドネ》。素晴らしい歌唱と舞台、そしてオーケストラの響きは、さすがウィーン国立歌劇場! と会場を訪れた誰もを納得させました。
 さて、今回はそのオーケストラの響きを支えるとても貴重な楽器のことをご紹介します。
 ハーモニウムという楽器をご存知でしょうか? リードを用いたオルガンのことで、足で空気を送って音を発するオルガンのことです。パイプオルガンがあまりにも高額であったことから、アコーディオンのようなリードを用いることで生み出されたそうです。20世紀初頭には、オルガンのようにさまざまなストップが備え付けられた芸術的ハーモニウムと称される次期が到来しましたが、やがて衰退しました。
 《ナクソス島のアリアドネ》がウィーンで初演されたのは1916年。まさしくこの芸術的ハーモニウム隆盛の時代。今回の日本公演には、この初演以来100年間使われてきたハーモニウムが持って来られました。音楽部長のトーマス・ラウスマン氏によると、「100年前の初演のときと同じ楽器なんですよ! 現在ではこのメーカーの楽器はもう製造されていません。修理ができる職人もわずかにスイスに居るだけです」とのこと。
 最大の特徴は、20以上にもおよぶストップの数! 音色を表すストップは、現代でいえばシンセサイザーの「ピアノ」や「フルート」などのボタンのような役割のものです。数々のストップをどう組み合わせるかは演奏者の技量とセンスなのだとか。ウィーンの《ナクソス島のアリアドネ》を支える響きには、きっと100年にわたる“秘伝”があるのでしょう。

舞台上から見たところ

舞台上から見たところ

譜面台と鍵盤の間に並ぶのがストップ

譜面台と鍵盤の間に並ぶのがストップ

譜面台に記された製造社名とマーク

譜面台に記された製造社名とマーク

ストップにはそれぞれの記号や文字が記されている

ストップにはそれぞれの記号や文字が記されている

オケピットのなかではプロンプターボックスの隣に置かれている。 がっしりとした楽器そのものは200キロほど。運搬用の箱に入れると300キロを超える

オケピットのなかではプロンプターボックスの隣に置かれている。
がっしりとした楽器そのものは200キロほど。運搬用の箱に入れると300キロを超える

音楽部長のトーマス・ラウスマン(右)、ブルーのメッシュ・ヘアーがお洒落なピアニストのイェンドリク・スプリンガー(左)

音楽部長のトーマス・ラウスマン(右)、ブルーのメッシュ・ヘアーがお洒落なピアニストのイェンドリク・スプリンガー(左)

《ナクソス島のアリアドネ》
作曲:R.シュトラウス
演出:スヴェン=エリック・ベヒトルフ
指揮:マレク・ヤノフスキ

■公演日程
10月25日(火) 7:00p.m.
10月28日(金) 3:00p.m.
10月30日(日) 3:00p.m.
会場:東京文化会館

■予定される主な出演
プリマドンナ/アリアドネ:グン=ブリット・バークミン
ツェルビネッタ:ダニエラ・ファリー
作曲家:ステファニー・ハウツィル
テノール:ステファン・グールド

執事長:ハンス・ペーター・カンメラー
音楽教師:マルクス・アイヒェ
舞踏教師:ノルベルト・エルンスト
ハルレキン:ラファエル・フィンガーロス

*表記のキャストは2016年10月23日現在の予定です。

■入場料(税込)
S=¥63,000 A=¥58,000 B=¥53,000 C=¥48,000 D=¥32,000 E=¥25,000 F=¥17,000
エコノミー券=¥13,000 学生券=¥8,000

ウィーン国立歌劇場2016年日本公演公式HP
http://www.wien2016.jp/