リッカルド・ムーティの3月の来日時に、演出家でマエストロの著書の翻訳なども手がける田口道子氏により行われたインタビューを、3回にわたりご紹介します。
1回目は、「《フィガロの結婚》は私自身の音楽人生にとって重要な作品」という言葉など、作品への思いがうかがわれます。
(インタビュー・文:田口道子/オペラ演出家)
◆《フィガロの結婚》は多くの劇場での上演のほかに録音も録画もなさっていますが、ウィーン国立歌劇場との共演ということに特別な感情はありますか?
ムーティ:ウィーン国立歌劇場との共演ということはウィーン・フィルとの共演ということでもあります。ウィーン・フィルとは46年もの長い間、毎年コンサートをしています。日本に初めて来たのも1975年のウィーン・フィルとのコンサートでした。ウィーン国立歌劇場には1973年に《アイーダ》でデビューして、その後もニュープロダクションで色々な作品を指揮しましたよ。特にアン・デア・ウィーンでのダ・ポンテ台本のモーツァルト三部作の成功は嬉しい思い出として心に残っています。ウィーン・フィルと録音したモーツァルトの作品は《フィガロの結婚》《コシ・ファン・トゥッテ》《ドン・ジョヴァンニ》のダ・ポンテ台本三部作の他にも《魔笛》《皇帝ティートの慈悲》などがあってどれも思い出深いです。ウィーン国立歌劇場との共演は第二の故郷に帰るような懐かしい気分です。
◆《フィガロの結婚》にまつわるエピソードなどはありますか?
ムーティ:特別なエピソードというものはありませんが、特に愛着を持っている作品です。《フィガロの結婚》は私が初めて取り組んだモーツァルトのオペラなのです。フィレンツェの首席指揮者になったばかりのことで、アントワーヌ・ヴィテツというフランスの演出家の演出でした。その後、1981年にスカラ座で演出家ジョルジョ・ストレーレルと共演しました。ストレーレルとの出会いは私にとって作品に向かい合う意識を高める大きなきっかけになりました。この《フィガロの結婚》を聴いてマエストロ・カラヤンが1982年にザルツブルクで《コシ・ファン・トゥッテ》を指揮しないかと誘ってくださったので、私自身の音楽家人生の歴史にとっては大変重要な作品なのです。ウィーン国立歌劇場のプロダクションはジャン=ピエール・ポネル演出のとても分かり易い舞台です。素晴らしいプロダクションに恵まれたことはとても幸運だったと思っています。
《フィガロの結婚》
作曲:W.A.モーツァルト
演出:ジャン=ピエール・ポネル
指揮:リッカルド・ムーティ
■公演日程
11月10日(木) 5:00p.m.
11月13日(日) 3:00p.m.
11月15日(火) 3:00p.m.
会場:神奈川県民ホール
■予定される主な出演
アルマヴィーヴァ伯爵:イルデブランド・ダルカンジェロ
伯爵夫人:エレオノーラ・ブラット
フィガロ:アレッサンドロ・ルオンゴ
スザンナ:ローザ・フェオーラ
ケルビーノ:マルガリータ・グリシュコヴァ
*表記のキャストは2016年3月22日現在の予定です。
■入場料(税込)
S=¥65,000 A=¥60,000 B=¥54,000 C=¥49,000 D=¥33,000 E=¥25,000 F=¥17,000
エコノミー券=¥13,000 学生券=¥8,000
ウィーン国立歌劇場2016年日本公演公式HP
http://www.wien2016.jp/
【チケット発売情報】
●2演目・3演目セット券 [S, A, B券]
NBS WEBチケット&電話受付
4月23日(土)10:00より
NBSチケットセンター:03-3791-8888
●全公演のS〜D券
一斉発売開始
6月4日(土) 10:00より