マクシミリアン・シュミット(テノール・ゲロンティアス役)

1)エルガーの《ゲロンティアスの夢》を歌われた、あるいは聴かれた経験はありますか?もし歌った(聴かれた)ことがあればその時の印象をお話しください。体験された指揮者、共演者(出演者)もお教えください。

 正直なところ、昨年マエストロ・ノットと一緒にジュネーヴで仕事をするまで、この作品について知りませんでした。マエストロが、この素晴らしい音楽を一緒に演奏しないか?と誘ってくださったので、ホテルに帰り、録音を聴いてみたのです。私はこの作品の素晴らしさに感動して、すぐノット氏に「ゲロンティアスの夢」を一緒に演奏したいとお伝えしました。
 私はこの作品が持つエモーショナルなパワーにとても感動しました。そして、この作品を歌うことは、自分にとっての挑戦だと思っています。


2) 《ゲロンティアスの夢》はエルガーの「3大オラトリオ」のひとつとして知られていますが、この作品の魅力はどのようなところにあるのでしょうか?

 エルガーの音楽には感情的で純粋な要素がたくさんあります。また、瞬時に人々の心を掴んでしまう魅力があり、私にとって、様々な感情のもつ色合いを純粋(またはストレート)な形で内包している音楽なのです。

3) あなたの母国において、《ゲロンティアスの夢》は広く知られた作品でしょうか。それとも現在でも知られざる作品なのでしょうか?

 残念なことにドイツではこの作品はそれほど多く演奏されていません。大編成のオーケストラと合唱が必要で、準備に大変な労力が必要だからだと思います。ドイツでの演奏会のレパートリーとしては珍しい作品です。エルガーのオラトリオと比べて、ハイドン、メンデルスゾーン、バッハのオラトリオのほうが頻繁に演奏されています。


4) エルガーの《ゲロンティアスの夢》に、リヒャルト・ワーグナーの作品との類似性を指摘する向きがありますが、歌う側としてどうお感じになりますか?

 そのとおりです。ワーグナーの作品では彼の卓越した書法と音楽と言葉の結びつきがベースになっています。エルガーにおいても同じです。長いフレーズ、素晴らしいメロディの数々、繰り返されるモティーフなどはワーグナーの音楽と共通する部分があると思います。

5) エルガーと同じく英国出身のマエストロ、ジョナサン・ノット氏とこの作品を共演するにあたり、抱負をお聞かせください。

 私がこの作品に出演するのは初めてですし、スリリングで素敵な体験になると期待しています。ノット氏が持つこの作品に対する豊富な知識を享受し、自分のものにする・・・そこには、濃密な時間と大きな喜びが待っていることでしょう。

マクシミリアン・シュミット(テノール/ゲロンティアス)
Maximilian Schmitt (Tenor/Gerontius)

ドイツ出身。幼少のころから聖歌隊のメンバーとして活躍。その後、ベルリン芸術大学で学ぶ。バイエルン国立歌劇場、ミュンヘンオペラ、マンハイム国立歌劇場、オランダ国立歌劇場等でモーツァルトやワーグナーの主要作品を数多く歌う。2016年ウィーン国立歌劇場とミラノ・スカラ座でモーツァルト《ドン・ジョヴァンニ》ドン・オッターヴィオでデビュー。オーケストラ作品もモーツァルト、モンテヴェルディからメンデルスゾーン、マーラー等幅広いレパートリーを持ち、ウェルザー=メスト、アバド、ルイージ、ハーディング等の指揮者陣のもと、チューリッヒ・トーンハレ管、クリーヴランド管、ゲヴァントハウス管、バイエルン放響、パリ管等の一流オーケストラへ客演を重ねている。2017/18年シーズンは、クルレンツィス指揮《皇帝ティートの慈悲》でヨーロッパツアーに参加。ベートーヴェン《第九》をウルバンスキとブランギエ指揮で、ミサ曲をヤンソンス指揮のもと歌う。その他クリーヴランド管とのカーネギーホール公演(ハイドン《四季》)、ザルツブルク復活祭音楽祭を経て、今回のジョナサン・ノット指揮東京交響楽団とのエルガー《ゲロンティアスの夢》でシーズンフィナーレを飾る。


【公演情報】

第662回定期演奏会
2018.7/14(土)18:00 サントリーホール

第66回川崎定期演奏会
2018.7/15(日)14:00 ミューザ川崎シンフォニーホール

●曲目
エルガー:オラトリオ ゲロンティアスの夢 Op.38

●出演
ジョナサン・ノット(指揮)
マクシミリアン・シュミット(テノール)
サーシャ・クック(メゾソプラノ)
クリストファー・モルトマン(バリトン)

合唱:東響コーラス
合唱指揮:冨平恭平

●チケット
サントリーホール

S席 A席 B席 C席
¥10,000 ¥8,000 ¥6,000 売切

ミューザ川崎シンフォニーホール

S席 A席 B席 C席
¥10,000 ¥8,000 ¥5,000 ¥4,000

 

問:TOKYO SYMPHONY チケットセンター 044-520-1511(平日10:00〜18:00)
TOKYO SYMPHONYオンラインチケット http://tokyosymphony.jp