レージネヴァ 一部の役です、まだ。非常にドラマティックなものとなると、自分の声への負担や、人生経験ももっと積んでいかないといけないと思うんです(笑)。もちろん、想像のなかで歌っていけるものはありますけれど、不自然な、作り物的な感じでは、聴くお客さまへの説得力を持たないと思うんです。ドラマティックなレチタティーヴォなどを歌うためには、肉体的な強さも必要だし…‥。いまはそれを培っているところなので、急がすにトライしていきたいと思っています。アンハッピーな悲しいものをやると、すごくストレスを感じてしまうので、いつの日か、そういうものができるようになる日を待ちたいと思っています。だから、今の私は、ピースフルとハッピーなものがいい(笑)
ーー英国ロイヤル・オペラには、日本公演に先立つ6月に、ツェルリーナ役でデビューですね。
レージネヴァ 素晴らしいオペラハウスに出演できることをとても光栄に思っています。世界で超一流の歌劇場の指揮者と歌手の方々とともに出演できるというのは、間違いなく素晴らしい経験です。さらに、ツェルリーナという役が私にぴったりの背丈にあったものということでも、とても嬉しく思っています。ツェルリーナは、若くて、かわいくて、ハッピーで、人生の幸せを謳歌している。お友達はまだ結婚できていないけど、私は先に結婚したのよー、みたいな、若さと喜びを満喫しています。でも、その裏側に危険が孕んでいるということもある…‥。自分のなかで、そうしたムードをつくっていきたいと思っています。
ーー英国ロイヤル・オペラへの出演はどのようにして決まったのでしょう?
レージネヴァ 2年ほど前にオーディションに呼ばれました。公募ではなく、興味を持たれた歌手が呼ばれるというこうしたプライベートなオーディションというのは珍しいことではないんですよ。以前、指揮者のマルク・ミンコフスキからは、彼がYouTubeで見て連絡をくれて、それで共演することになりました。
ーー日本公演について、どのように感じていますか?
レージネヴァ とても楽しみにしています。そして、ちょっとだけ責任も(笑)
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日本公演のチラシを手に、舞台写真のツェルリーナを指して、「これ、私のドレス!」と、嬉しそうに声を弾ませた。若く、愛らしく、幸福を満喫しながら、好奇心も…‥というツェルリーナのキャラクターはご自身も言う通り、まさにうってつけのキャラクター。日本のファンを魅了するに違いありません。
(吉羽尋子 音楽ライター)
★今年2月末から3月、神奈川県民ホールでの演奏が話題を呼んだ《メッセニアの神託》 。レージネヴァが歌うトラシメーデのアリアは、聴衆を圧倒した。
全曲アルバムはこちら。
■ヴィヴァルディ:歌劇《メッセニアの神託》
■英国ロイヤル・オペラ《ドン・ジョヴァンニ》ツェルリーナ役・ユリア・レージネヴァメッセージ