《ドン・ジョヴァンニ》ドンナ・アンナの衣裳ができるまで(2)

ドンナ・アンナのドレスの生地を染めたり、また汚しをかけたりする作業、そしてインクの染みのようにみえる黒いデザインが一つひとつ手作業で行われていく行程を動画でご覧いただけます。少しずつ様子をみながら繰り返して完成させる染めの行程、作業をしている人自身「骨の折れる作業です」と言う染みを施す行程、一つの衣裳をつくるために多くの時間と手間がかけられていることがわかります。
(この動画は日本公演を前に、ロンドンでの6月公演のためにROHによってアップされたものです)

■Creating Donna Anna’s Dress for Don Giovanni (The Royal Opera)

[以下、説明の要約]  衣裳の染め、汚しを担当する部署のマリアン。生地の染めのほか、血や汚れなど、舞台に必要とされる“汚し”を施すため、舞台上で使われるもののほとんどがこの部署に持ち込まれるとのこと。ここでは生地の仕上げ剤を落とし、オリジナルの色に染めていく行程を見せてくれています。仕上げ財を落とすのは、染料を染み込みやすくするため。その後の染めの行程は、スプーン一杯の染料からはじめ、様子を見ながら、オリジナルと完全に一致するまで何度も繰り返していくそうです。
 後半は、ドンナ・アンナの衣裳に墨で染みをつけ、滴らせる行程をパーヴィーンが紹介してくれます。縫い上がった衣裳に、細かく指定された通り、筋に見えるような滴りを施していきます。他の部分を汚さずに、雑にならないように細心の注意が必要です。自然に流れ落ちるように、滲みがちになりそうなときには素早く望む方向に導きますが、ヘアー・ドライヤーを用いて滲みを止めることもあるそうです。「2次元のデザインが生命を得て、3Dの衣裳になるのは、見ていて面白い」と言う言葉には、この仕事への誇りが感じられます。

■英国ロイヤル・オペラ2015年来日公演《ドン・ジョヴァンニ》