《ドン・ジョヴァンニ》ドンナ・アンナの衣裳ができるまで(1)

ロイヤル・オペラハウスの女性用衣裳制作部責任者のカトリオーナ・パターソンが、ドンナ・アンナの衣裳製作の過程を紹介する動画をご覧いただけます。デザイン画をもとに型紙を起こし、生地を裁断し、縫製していく過程が見られるほか、どのようなコンセプトでデザインされているか、演出にもとづいて考えられた時代の特徴などが説明されています。上演では見ることができない細かい工夫の数々を見ることができるのも貴重。
(この動画は日本公演を前に、ロンドンでの6月公演のためにROHによってアップされたものです)

■Designing and creating Donna Anna’s dress for Don Giovanni (Costume Production Department)

[以下、説明の要約]

 衣裳製作は、デザイナーからのデザインが上がったところでデザイナーとのミーティングから始まります。上演コンセプト、衣裳コンセプトについての話し合いが行われます。今回の《ドン・ジョヴァンニ》の衣裳デザイナー、アニャ・ヴァン・クラフはファッション業界出身の人。彼女からの要望は、古いビクトリア調のシルエットと、同じくビクトリア調のボディスに見られる縫い目のような風合いを組み合わせたいというもの。さらに、最新ファッションのひねりを加えることも要求されました。ミーティングの後、パターソンたちは古い型紙の参考文献にあたり、デザイナーの着想や取り入れて欲しいと望まれるファッションの影響を考えます。
そしてまず、あらかじめ歌手のジャスト・サイズに作られたボディーにキャラコを被せるところから工程開始。衣裳のなかにはとても高価な布が使われることもあるため、裁断の前には安価な綿生地キャラコでできるだけ正確なものをしあげるのだと説明しています。キャラコの型紙で作業が終わると、いよいよ本番の生地での作業となります。裁断の後の縫製はまず手縫いで、そしてミシンがけが行われます。ここまできて初めて歌手との仮縫いが行われます。そこで微妙な変更や調整が行われ、再び作業部屋に戻された衣裳に最終的な変更が反映され、必要に応じた装飾が施され、衣裳が完成します。

■英国ロイヤル・オペラ2015年来日公演《ドン・ジョヴァンニ》