サイモン・キーンリサイド インタビュー(2)

《マクベス》よりPhoto:ROH/Clive Barda, 2011

《マクベス》よりPhoto:ROH/Clive Barda, 2011

 キーンリサイドは、ヴェルディのオペラを演じるためには歌唱力やスコアの深い読み込みだけでなく、“優れた指揮者との絆を結ぶこと”が必要だと考えている。その点、ロイヤル・オペラ音楽監督のアントニオ・パッパーノは申し分ない。
 「強い信頼関係による絆を結べる優れた指揮者が必要です。トニー(パッパーノ)は素晴らしい音楽家で、また《マクベス》は彼にとっても特別な作品であることはたしかです」
 パッパーノ監督の長所は?という質問には「細部にまで注意を払うこと。準備が全てですから!」と即答した。
 彼はまた、フィリダ・ロイドの演出、特にアンソニー・ワードの舞台美術についても賞賛する。
 「フィリダの演出は本当に素晴らしいものです。優れた舞台美術は、私たちの声が表現するドラマの、明暗のどちら側にも力を与え、色彩豊かなものにしてくれます。この舞台はそうした意味でとても効果的なのです。私はこの舞台に立てることをとても嬉しく思っています」
 キーンリサイドは、これまでに度々来日している。
 「日本の聴衆は侮れません。というのも、すでに多くの優れた歌手が日本を訪れているので、彼らはその素晴らしさを覚えているからです。私は日本にいる間はいつも、歌うこと、演じることに全力を注いできたので、他のことを楽しむ時間なんてありませんでした」
 しかしキーンリサイドは、シェイクスピアを題材とした日本映画、特に、黒澤明が「リア王」にもとづいてつくった映画「乱」はお気に入りとのこと。
 「シェイクスピア作品をよく理解し、そして音楽についてもよく知っている日本の聴衆の前でマクベスを演じることをとても嬉しく思っています。日本の皆さんは、劇と音楽の両方の知識を備えた、理想的な聴衆だと思っています」
[インタビュー・文 ジョージ・ホール(在ロンドン・音楽ジャーナリスト)]

■キーンリサイドのコメント&リハーサル映像はこちらからご覧になれます。

英国ロイヤル・オペラ2015年来日公演《マクベス》