ローマ歌劇場ではまだ歌ったことはありませんが、あの豪華な劇場で是非歌ってみたいと思っています。特別な町のとても素晴らしい伝統のある劇場ですから。
また、《トスカ》はローマ歌劇場で初演されました。そしてトスカは私にとって最も大事な役のひとつであり、全てのオペラの中で最も好きな作品のひとつなのです。ローマを舞台にした作品ですし、私の《トスカ》愛のせいで、ローマは私にとって特別な都市に思えるのかもしれません。いつかローマ歌劇場でトスカを歌うことが夢です。
ーーオペラ歌手になることを目指したのはいつごろですか? 何故?
かなり大きくなるまで、オペラ歌手になろうなどと思ったこともありませんでした。もともとロック音楽のファンだったのです。私が音楽を勉強し、オペラ歌手になるべきだ、と確信し決意したのは母の方でした。私は母を喜ばせたい思いでオペラ歌手になってみようかしらと考えるようになったのが、21歳のころでした。「これだ」と自分で確信した瞬間を忘れることはできません。それは、コヴェント・ガーデンでトスカを歌うマリア・カラスの録音を聴いた時でした。それまでは、オペラとはただ大きな声を張り上げて歌うものだとしか思っていませんでした。でもカラスがすべてを変えてしまいました。オペラはとてつもない芸術形式であり、役を演じ、創造することがどれほど大事なことであるかということに気づかされました。カラスの声が私に深く突き刺さったのでした。
私のオペラ歌手としてのキャリアは、すべてがスピーディに展開しました。ラトビア国立歌劇場で2005年に歌い始め、06年にはベルリン国立歌劇場でデビューしました。ベルリンは、オーディションで歌うと、トスカを歌うようにと招いてくれました。26歳の人間が、あんなに素晴らしい歌劇場でトスカを歌わせてもらえるなんて本当に大きなステップでした。オーディションからわずか8か月後にベルリンでトスカを歌ったのですから。その時にすべてが始まりました。トスカの後は、マエストロ・バレンボイムが指揮する《賭博師》の新プロダクションに招かれました。それはスカラ座との共同制作だったので、(ベルリンと)同じシーズンにスカラ座でもデビューすることになったわけです。その後《ルサルカ》のタイトルロールをバイエルン国立歌劇場で歌い、それにより、多くのドアが開かれていきました。色々なことがスピーディに起こり、他の人から見ればそう見えたかもしれませんが、不思議と私にはそれほど速いとは感じられませんでした。すでにラトビア国立歌劇場で幅広いレパートリーを歌い、自分でも日々、研鑽を積んできていたからかもしれません。ずっと仕事が忙しかったので、あまり時間を気にしている暇もなかったのかもしれません。人は情熱を持っているとき、日々を数えたりしないでしょ。
ーーオペラ歌手としてのあなたが最も影響を受けた人またはものは?
マリア・カラスです。彼女のパフォーマンスは本当に力強く、今でも、彼女の録音には非常に感動と刺激を受けます。
そして、全ての成功が、芸術家として成長するための新たな力を与えてくれます。すべての同僚、舞台(芸術)監督、そして指揮者の方々も私たちを成長させてくれます。これまでもそうでしたが、これからも、私は共に仕事をするアーティストの皆さんから多くを学び続けるでしょう。
*その4に続く
【公演情報】
ローマ歌劇場2018年日本公演
《マノン・レスコー》
9月16日(日) 15:00 神奈川県民ホール
9月20日(木) 15:00 東京文化会館
9月22日(土) 15:00 東京文化会館
指揮: ドナート・レンツェッティ
演出: キアラ・ムーティ
美術: カルロ・チェントラヴィーニャ
衣裳: アレッサンドロ・ライ
照明: ヴィンセント・ロングエマーレ
■出演
マノン:クリスティーネ・オポライス
デ・グリュー:グレゴリー・クンデ
レスコー:アレッサンドロ・ルオンゴ
ローマ歌劇場管弦楽団
ローマ歌劇場合唱団
*※表記の出演者は2018年1月15日現在の予定です。病気や怪我などのやむを得ない事情により出演者が変更になる場合があります。その場合、指揮者、主役の歌手であっても代役を立てて上演することになっておりますので、あらかじめご了承ください。
■料金(税込)
S席¥54,000 A席¥47,000 B席¥40,000 C席¥33,000
D席¥26,000 E席¥19,000 F席¥12,000
学生券¥8,000
*学生券はNBS WEBチケットのみで2018.8/3(金)18:00より受付開始。