《魔笛》ゲネプロ

 《タンホイザー》での日本公演開幕を翌日に控えた9月20日には、東京文化会館でもう一つの演目《魔笛》のゲネプロ(最終舞台稽古)が行われました。

 序曲の始まりとともに幕が上がると、そこは星が輝く夜空、その中央の高い位置には夜の女王が立っている…。息を呑む美しさです!

第1幕より
タミーノ:ダニエル・ベーレ
Photo:M.Terashi/TokyoMDE

 ここで感じる舞台の美しさは、全編に共通するもの。どこかぬくもりを感じさせる星の輝きや、上から吊るされるだけではなく、横に流れる背景幕や、重厚に鎮座しているライオン像が首を振ったり脚を動かしたり、タミーノの笛の音とともに動物たちが幸せそうに踊るなど、どの場面でも、醸し出される雰囲気は、《魔笛》がメルヘンのオペラであることをあらためて思い出させてくれます。

第1幕より
タミーノ:ダニエル・ベーレ
Photo:M.Terashi/TokyoMDE

 指揮をとるアッシャー・フィッシュは、できる限り流れを止めたくない、とでもいうように、指揮を続けながら、オーケストラや舞台上の歌手、そして後ろに控える音楽スタッフに語りかけます。それでもどうしても、という場合には途中で演奏が止められるといった具合。先に行われた《タンホイザー》のゲネプロで、指揮者のキリル・ペトレンコが、細かく止めながら指示を出していたのとは対照的といったところですが、どちらも上演をより良く仕立てていく到達点は同じです。フィッシュ自身が、「ペトレンコと僕は、まったくタイプが違うんだよ」と言っていたことが思い出されました。

アッシャー・フィッシュ
Photo:M.Terashi/TokyoMDE

 夜の女王役のブレンダ・ラエによる最大の聴かせどころをはじめ、セリフを含めた演技力で笑いを誘うパパゲーナ役のミヒャエル・ナジ、豊かで美しい声を響かせるパミーナ役のハンナ=エリザベス・ミュラー、見た目も声もハンサム王子にぴったりのタミーノ役ダニエル・ベーレ、そして存在感たっぷりのザラストロ役マッティ・サルミネンと、歌手たちはいずれも、本番さながらの歌いぶりで、万全の準備を確信したようです。

第1幕より
パパゲーノ:ミヒャエル・ナジ(左)、タミーノ:ダニエル・ベーレ(右)、3人の童子:テルツ少年合唱団(上)
Photo:M.Terashi/TokyoMDE

第1幕より
パミーナ:ハンナ=エリザベス・ミュラー(左)、パパゲーノ:ミヒャエル・ナジ(右)
Photo:M.Terashi/TokyoMDE

第2幕より
夜の女王:ブレンダ・ラエ(左)、パミーナ:ハンナ=エリザベス・ミュラー(右)
Photo:M.Terashi/TokyoMDE

第2幕より
パミーナ:ハンナ=エリザベス・ミュラー(左)、ザラストロ:マッティ・サルミネン(右)
Photo:M.Terashi/TokyoMDE

第2幕より
パミーナ:ハンナ=エリザベス・ミュラー(左)、タミーノ:ダニエル・ベーレ(右)
Photo:M.Terashi/TokyoMDE

第2幕より
3人の童子:テルツ少年合唱団
Photo:M.Terashi/TokyoMDE

第2幕より
パミーナ:ハンナ=エリザベス・ミュラー(左)、タミーノ:ダニエル・ベーレ(右)
Photo:M.Terashi/TokyoMDE

第2幕より
パパゲーノ:ミヒャエル・ナジ、3人の童子:テルツ少年合唱団
Photo:M.Terashi/TokyoMDE

第2幕より
パパゲーナ:エルザ・ベノワ(左)、パパゲーノ:ミヒャエル・ナジ(右)
Photo:M.Terashi/TokyoMDE

第2幕より
タミーノ:ダニエル・ベーレ(左)、ザラストロ:マッティ・サルミネン(中央)、パミーナ:ハンナ=エリザベス・ミュラー(右)
Photo:M.Terashi/TokyoMDE

【公演日程】
バイエルン国立歌劇場日本公演

《魔笛》
作曲:W.A.モーツァルト
演出:アウグスト・エヴァーディング
指揮:アッシャー・フィッシュ
9月23日(土・祝) 3:00p.m.
9月24日(日) 3:00p.m.
9月27日(水) 6:00p.m.
9月29日(金) 3:00p.m.
会場:東京文化会館

■予定される主な出演
ザラストロ:マッティ・サルミネン
タミーノ:ダニエル・ベーレ
夜の女王:ブレンダ・ラエ
パミーナ:ハンナ=エリザベス・ミュラー
パパゲーノ:ミヒャエル・ナジ
パパゲーナ:エルザ・ベノワ

※表記の出演者は2017年1月20日現在の予定です。
http://www.bayerische2017.jp/zauberflote/