ここに期待! 《タンホイザー》&《魔笛》

 6年ぶりとなるバイエルン国立歌劇場日本公演は、近年の日本で行われる海外歌劇場の引っ越し公演のなかでも、群を抜く注目を集めるものとなります。まず第一に挙げられるのは、音楽総監督キリル・ペトレンコの初来日。日本では、彼の名が広まったのはベルリン・フィルの次期首席指揮者兼芸術監督決定のニュースでしたが、ヨーロッパでは、その評価はもう何年も前から、それもオペラ指揮者として高い評価を獲得しています。オペラ・ファンにとって、音楽総監督就任から5シーズン目にして実現する日本公演は、絶好の機会! 

キリル・ペトレンコ
Photo:Wilfried Hösl

未知の演出とフォークトの新境地にわくわくドキドキの《タンホイザー》
 さらにペトレンコが指揮する《タンホイザー》は、2017年5月に新演出の後、日本へとやって来ます。当代きってのワーグナー・テノール、クラウス・フロリアン・フォークトの主役。人気実力ともに世界のトップに位置するフォークトは、この5月のミュンヘンでのプレミエが初のタンホイザー役となります。フォークトの新境地に、いまから目をハート型にして待ち望むファンも多いようです。また、その他のキャストも、ウォルフラム役にマティアス・ゲルネ、エリーザベト役にアンネッテ・ダッシュ、ヴェーヌス役にエレーナ・パンクラトヴァなど、実力派がズラリ。5月のプレミエまではどんな演出になるのか“秘密のヴェール”に包まれていますが、それだけにわくわくドキドキしながら期待が膨らみます。
 当サイトでは、新しい《タンホイザー》についての情報をお届けしていく予定です。どうぞお楽しみに。

アッシャー・フィッシュ
Photo:Chris Gonz

愛され続けるには理由がある!
 バイルン国立歌劇場が誇る名プロダクションの《魔笛》は、実力派指揮者として同歌劇場のシーズンを支えるアッシャー・フィッシュの指揮。バレンボイムの愛弟子としてキャリアをスタートし、もはやベテランの風格を感じさせます。バイエルン国立歌劇場の看板演目を担うべく、指揮者、そしてそれぞれの役柄を当たり役とするキャストが揃えられたことは言うまでもありません。
 《魔笛》は、モーツァルトのオペラのなかでも世界中で、子どもから大人までに人気を獲得している作品です。王子が捉えられた娘を助けに行くと、実はそこには“正義”があり、王子と娘は試練を乗り越えて太陽の神殿に迎えられるという物語。冒険物語やスペクタクル、コミカルなシーンなどが取り混ぜられているのは、この作品が庶民が楽しむためにつくられたもの、という背景があります。いわばエンタメ度高いぞ!といったところでしょうか。しかし、モーツァルトが書いた美しい音楽やファンタスティックな物語は芸術として愛でられなければなりません。
 バイエルン国立歌劇場は、ワーグナー、R.シュトラウス、モーツァルトを3本の柱としていて、モーツァルト作品の多くも、次々と新制作が行われていますが、《魔笛》に関しては、今回上演されるアウグスト・エヴァーディング演出が変わることなく愛されています。エヴァーディングは、1977年から82年までバイエルン国立歌劇場の総裁を務めた人でもあります。物語がもつメルヘン性とファンタジー性を、子どもだましでなくしっかりと描きだし、美術も幻想的な美しさをもつこのプロダクションは、《魔笛》はやっぱりコレ!と思わせる名舞台なのです。

【公演日程】
バイエルン国立歌劇場日本公演

《魔笛》
作曲:W.A.モーツァルト
演出:アウグスト・エヴァーディング
指揮:アッシャー・フィッシュ
9月23日(土・祝) 3:00p.m.
9月24日(日) 3:00p.m.
9月27日(水) 6:00p.m.
9月29日(金) 3:00p.m.
会場:東京文化会館

■予定される主な出演
ザラストロ:マッティ・サルミネン
タミーノ:ダニエル・ベーレ
夜の女王:ブレンダ・ラエ
パミーナ:ハンナ=エリザベス・ミュラー
パパゲーノ:ミヒャエル・ナジ
パパゲーナ:エルザ・ベノワ

《タンホイザー》
作曲:R.ワーグナー
演出:ロメオ・カステルッチ
指揮:キリル・ペトレンコ
9月21日(木) 3:00p.m.
9月25日(月) 3:00p.m.
9月28日(木) 3:00p.m.
会場:NHKホール

■予定される主な出演
領主ヘルマン:ゲオルク・ゼッペンフェルト
タンホイザー:クラウス・フロリアン・フォークト
ウォルフラム:マティアス・ゲルネ
エリーザベト:アンネッテ・ダッシュ
ヴェーヌス:エレーナ・パンクラトヴァ

http://www.bayerische2017.jp/