すでにご紹介している通り、5月21日、ミュンヘンで《タンホイザー》新演出プレミエが行われ、幕が開くまで秘密のヴェールに包まれていたその全貌が明らかになりました。このプロダクションでは、目にも耳にも嬉しい“驚き”が次々と繰り出されます。
驚くべき「美」のポイントを3つの視点からご紹介していきます。
これはペトレンコ率いるオーケストラの演奏の緻密さ、そして合唱団の威力によるものです。実は序曲から続くバッカナーレでは半裸の女性たちが弓矢を射ることもあり、視覚的なインパクトもあるのですが、実際に舞台に引き込んでいるのはオーケストラの演奏です。強烈な演奏の力は、第2幕、第3幕と、場面が進むなかでも、さまざまな場面の色や雰囲気を完璧に作り出していきます。さらに、特筆すべきは合唱。劇場内に響く巡礼の合唱は、耳だけでなく、聴く者の心の奥底へと染み入ります。
「聴く美」において、ソリストたちを取り上げるのは野暮というものかもしれませんが、どうしても記しておきたいのは、タンホイザー役のフォークトの美声。もともと美しい声質の持ち主ではありますが、以前にもました滑らかさが! 日本公演登場に期待が膨らみます。
《タンホイザー》第3幕より
【公演日程】
バイエルン国立歌劇場日本公演
《タンホイザー》
作曲:R.ワーグナー
演出:ロメオ・カステルッチ
指揮:キリル・ペトレンコ
9月21日(木) 3:00p.m.
9月25日(月) 3:00p.m.
9月28日(木) 3:00p.m.
会場:NHKホール
■予定される主な出演
領主ヘルマン:ゲオルク・ゼッペンフェルト
タンホイザー:クラウス・フロリアン・フォークト
ウォルフラム:マティアス・ゲルネ
エリーザベト:アンネッテ・ダッシュ
ヴェーヌス:エレーナ・パンクラトヴァ
※表記の出演者は2017年1月20日現在の予定です。
http://www.bayerische2017.jp/tannhauser/