《タンホイザー》 驚きの美のポイント!(3)

 ミュンヘンでの新演出プレミエ《タンホイザー》の、目にも耳にも驚くべき「美」のポイントを3つの視点から紹介する第3回目は「感じる美」。

 「聴く美」と「見る美」に引き込まれるこのプロダクション。観客はそれらを総合して感じ取ります。見終わった後、どのように感じるか・・・。救済を得ることなくタンホイザーが息絶えることがクローズアップされたプロダクションの場合には、見終わった後に一抹の重苦しさを感じることがあるかもしれません。しかし、このオペラの最後は、奇跡が起こりタンホイザーの救済が認められたことで終わります。
 このプロダクションでは、救済がもたらす明日への希望、生きることの美しさが感じられるのではないでしょうか。

 このプロダクションのフィナーレを“感じる”ために、演出家ロメオ・カステルッチの言葉が一つの助けになるかもしれません。
「これは身体の衰退、腐敗のプロセスです。
 ここでは、体内時計を感じることになるでしょう。
 私たちに課せられた体内時計、しかし同時に、それは時をも超越するのです。
 原子の最終段階にまで到達した時、出会いは叶えられます。
 タンホイザーの塵とエリーザベトの塵はついに抱擁しあい、一つになれるのです」

救済を得て、平安と希望すら感じさせる
フィナーレのタンホイザー(クラウス・フロリアン・フォークト)
Photo:Wilfried Hösl

【公演日程】
バイエルン国立歌劇場日本公演
《タンホイザー》
作曲:R.ワーグナー
演出:ロメオ・カステルッチ
指揮:キリル・ペトレンコ
9月21日(木) 3:00p.m.
9月25日(月) 3:00p.m.
9月28日(木) 3:00p.m.
会場:NHKホール

■予定される主な出演
領主ヘルマン:ゲオルク・ゼッペンフェルト
タンホイザー:クラウス・フロリアン・フォークト
ウォルフラム:マティアス・ゲルネ
エリーザベト:アンネッテ・ダッシュ
ヴェーヌス:エレーナ・パンクラトヴァ

※表記の出演者は2017年1月20日現在の予定です。
http://www.bayerische2017.jp/tannhauser/