田口道子さんによるアントニオ・ポーリのインタビューを紹介する2回目です。
新演出のプレミエ・キャストでもあるポーリは、オファーがあったとき椅子から飛び上がって喜んだそうです。初のオペラ演出を手がけるソフィア・コッポラのこと、また初演のときの様子などを話してくれました。
ーーローマ歌劇場では新演出のプレミエ・キャストとして成功されました。オファーを受けた時の心境はいかがでしたか?
ちょうどローマ歌劇場で《愛の妙薬》を歌っていた時でした。芸術監督のヴラッドさんからアルフレードを歌わないかと言われて、まずはどこで?と尋ねました。ローマ歌劇場の新演出でソフィア・コッポラ演出、ヴァレンティノの衣裳だと聞いて、椅子から飛び上がりましたよ。嬉しくてしばらく興奮状態でした。一度ヴェネツィアでアルフレードを歌ったのですが、その後しばらく歌っていなかったので改めてデビューする気持ちで受けました。
ーー初日はいかがでしたか?
初日よりもゲネプロのほうが緊張しました。ヴァレンティノさん関係のお客様がたくさんいらしたので、客席は各界の有名人ばかりという感じでした。そもそも、どんなプロダクションになるのかという好奇の目で見られていましたから、稽古中も劇場は厳重警戒で、情報が外部に流れないようにして緊張感が漲っていました。発売と共にチケットは全公演売り切れという状態でしたから、いかに皆さん興味を持っていたかがわかるでしょう。ゲネプロが終わってホッとしてからの初日でしたけれど、客席の反応がとても気になりました。成功に終わって、みんなで大喜びしました。一番喜んでいたのはヴァレンティーノさんでしたよ。記者会見では感激して涙をこぼしていました。
ーーソフィア・コッポラさんはオペラの演出はこの《椿姫》が初めてとのことでした。彼女との仕事はどのように進められましたか?
まずは舞台装置のデザイン画を見せてくれて、彼女の演出意図を話してくれました。動きに関しては僕たちに任せてくれましたけれど、ポジションよりも顔の表情や、体の動かし方など細かい指示がありました。彼女はとても丁寧で親切な人で、僕たちの緊張をほぐしながら仕事を進めてくれました。ヴァレンティノさんも同じく、とても感じの良い方で、気持ちよく仕事ができました。お二人とも大スターですから、稽古が始まるまでは心配もありましたけれど、とても和やかに仕事ができて楽しかったです。映画の世界もファッションの世界も劇場とは違って近い距離で役者を見ることに慣れているので細やかな指示をするのだと思いますけれど、その細やかさが劇場という空間で20mの距離があっても生きるのだということを感じました。
インタビュー・文:田口道子
*その3に続く
■公演情報
ローマ歌劇場2018年日本公演
《椿姫》
2018.
9月9日(日) 15:00
9月12日(水) 15:00
9月15日(土) 15:00
9月17日(月・祝)15:00
東京文化会館
指揮: ヤデル・ビニャミーニ
演出: ソフィア・コッポラ
美術: ネイサン・クロウリー
衣裳: ヴァレンティノ・ガラヴァーニ
照明: ヴィニーチョ・チェーリ
ビデオ: イゴール・レンツェッティ、ロレンツォ・ブルーノ
振付: ステファン・ファヴォラン
■出演
ヴィオレッタ・ヴァレリー: フランチェスカ・ドット
フローラ・ベルヴォワ: エリカ・ベレッティ
アルフレード・ジェルモン: アントニオ・ポーリ
ジョルジョ・ジェルモン: アンブロージョ・マエストリ
ローマ歌劇場管弦楽団
ローマ歌劇場合唱団
ローマ歌劇場バレエ団
※表記の出演者は2018年5月31日現在の予定です。病気や怪我などのやむを得ない事情により出演者が変更になる場合があります。その場合、指揮者、主役の歌手であっても代役を立てて上演することになっておりますので、あらかじめご了承ください。
■料金(税込)
S席¥54,000 A席¥47,000 B席¥40,000 C席¥33,000
D席¥26,000 E席¥19,000 F席¥12,000
学生券¥8,000
*学生券はNBS WEBチケットのみで2018.8/3(金)18:00より受付開始。