グレゴリー・クンデ インタビュー(1)

グレゴリー・クンデ
Photo:Chris Gloag

輝きを放つ”イタリアの声”をもつ
アメリカ人テノール
“完璧なベルカント歌手”が迫るデ・グリュー像

 グレゴリー・クンデを、イタリア人だと思い込む人は少なくないようです。完璧なベルカントと、なにより”イタリア人テノール”の特徴といえる輝かしい声をもっているからです。ローマ歌劇場2018年日本公演では、長いキャリアの中でも、比較的新しくレパートリーに加わった《マノン・レスコー》のデ・グリュー役で日本のファンを魅了してくれるはず。2017年6月、英国ロイヤル・オペラへの出演の合間に、ロンドン在住のジャーナリスト、秋島百合子さんのインタビューに応えてくれました。

ーー9月に日本でプッチーニの《マノン・レスコー》のデ・グリューを歌われますね。
 私は恐らく歌うことはないだろうと思われる役を、いつも探っています。スペインのビルバオで《マノン・レスコー》を歌わないかと依頼されて、2016年5月に歌いました。それがこの役のデビューです。それでやってみようかと。私のキャリアの今の時点では、もし誰かが機会を与えてくれるならイエスということが多いんです。失うものは何もないから(笑)。もう39年も歌っていますからね。プラシド(ドミンゴ)が言ったように、「休んだら(rest)錆びるよ(rust)」。だからやり続けて新しいチャレンジを受ける。おもしろいものであればね。《マノン・レスコー》を受けたのは、この後も歌う機会があるだろうと思ったからです。


ーーイタリアものを主なレパートリーとする歌手でいらっしゃるから、マスネよりプッチーニの方を取るのが自然だと?

 そうです。マスネのは、おそらく今の私には軽過ぎるでしょう。マスネの役にはそれは繊細な部分が多くあるので、もっと軽い声の方が適していると思います。一方で、プッチーニの《マノン・レスコー》は強力です。このオペラを勉強する前は僕の一番好きなプッチーニは《ラ・ボエーム》でした。


ーーなぜですか。

 とにかく音楽が美しい。すばらしい音楽を歌うわけだし、芝居としても途方もない演技力が要求されますから。
インタビュー・文 秋島百合子

クンデのデ・グリュー役デビューとなったビルバオでの《マノン・レスコー》より
Photo:ABAO-OLBE C)E.-Moreno-Esquibel

【公演情報】
ローマ歌劇場2018年日本公演
《マノン・レスコー》
9月16日(日) 15:00 神奈川県民ホール
9月20日(木) 15:00 東京文化会館
9月22日(土) 15:00 東京文化会館

指揮: ドナート・レンツェッティ
演出: キアラ・ムーティ
美術: カルロ・チェントラヴィーニャ
衣裳: アレッサンドロ・ライ
照明: ヴィンセント・ロングエマーレ

■出演
マノン:クリスティーネ・オポライス
デ・グリュー:グレゴリー・クンデ
レスコー:アレッサンドロ・ルオンゴ

ローマ歌劇場管弦楽団
ローマ歌劇場合唱団

*※表記の出演者は2018年1月15日現在の予定です。病気や怪我などのやむを得ない事情により出演者が変更になる場合があります。その場合、指揮者、主役の歌手であっても代役を立てて上演することになっておりますので、あらかじめご了承ください。

■料金(税込)
S席¥54,000 A席¥47,000 B席¥40,000 C席¥33,000
D席¥26,000 E席¥19,000 F席¥12,000
学生券¥8,000
*学生券はNBS WEBチケットのみで2018.8/3(金)18:00より受付開始。

http://www.nbs.or.jp/stages/2018/roma/