《マノン・レスコー》のタイトルロールを歌うクリスティーネ・オポライスは、今回のローマ歌劇場日本公演が初来日。「現在最高のプッチーニ歌い」と称される歌姫が、日本のファンのためにメール・インタビューに応えてくれました。一つ一つの問いに、飾ることのない本音を、これほど丁寧に届けてくれるアーティストは珍しいかもしれません。
本サイトでは、全文を4回にわたってご紹介していきます。
ーー「現在最高のプッチーニ歌い」 “the leading Puccini Soprano of today” (The Telegraph)と称されています。あなた自身、自分にとってのプッチーニのオペラ、プッチーニのオペラの諸役は特別なものと感じていますか?
プッチーニの作品や諸役が私にとってどれほど特別かというのは、言葉では説明しきれないくらいです。プッチーニには、常にとても強い繋がりを感じてきました。心と魂の両方でで繋がりを感じています。プッチーニの役を歌うと、鼓動が高まります。プッチーニのヒロインを歌うと、恋に落ちたように感じるのです……私自身が恋をしていない時にでもそう感じます。つまり音楽が、私を恋しているかのように感じさせてくれるのです。
ーー初めて《マノン・レスコー》のマノンを歌ったのはいつ、どこで?
《マノン・レスコー》は英国ロイヤル・オペラでデビューしました。本当に大きなデビューでした! というのも、初役だったのは私だけではなく、ヨナス・カウフマンがデ・グリュー役、そしてマエストロ・パッパーノにとっても初めて指揮する作品でした。3人にとってのデビューというのは重要なことでした。とても特別なプロジェクトでしたし、私にとっては(演出家の)ジョナサン・ケントとご一緒できたことも素晴らしい事でした。知的な演出家であり、彼とともにすべての登場人物について、細部まで探究できたことは本当に素晴らしい経験となりました。
ーーロンドンをはじめ、《マノン・レスコー》のマノン役は、ニューヨークほか、数々の舞台で歌っていらっしゃいます。プロダクションによって、マノン役に求められるものが異なることもあったでしょう。経験を重ねる中で、マノン役について、あなたの思いやアプローチに変化はありましたか? あったとしたら、どのような点ですか。
《マノン・レスコー》はいくつかの新演出で歌ってきましたが、いずれも、制作過程のスタートから参加することができました。プロダクションの芸術的視点を形作っていく過程に参画したかどうかは、アーティストにととって非常に大きな意味をもちます。私が経験した3つの新演出はいずれもモダン演出でしたが、それぞれ異なり、同じ役(マノン)でも全く違うものに感じられました。私の日本デビューとなる《マノン・レスコー》は、私にとって初めての伝統的なプロダクションとなるという点でもとても楽しみにしていますし、指揮者ドナート・レンツェッティとともに新たなプッチーニの伝統を探っていきたいと思っています。マエストロとはまだ共演したことはありませんが、沢山の良い話を聞いています。キアラ・ムーティとご一緒できることも心待ちにしています。キアラとともにこのマノンという魅力的な役の細かなニュアンスを探っていきたいと思います。
*その2に続く
【公演情報】
ローマ歌劇場2018年日本公演
《マノン・レスコー》
9月16日(日) 15:00 神奈川県民ホール
9月20日(木) 15:00 東京文化会館
9月22日(土) 15:00 東京文化会館
指揮: ドナート・レンツェッティ
演出: キアラ・ムーティ
美術: カルロ・チェントラヴィーニャ
衣裳: アレッサンドロ・ライ
照明: ヴィンセント・ロングエマーレ
■出演
マノン:クリスティーネ・オポライス
デ・グリュー:グレゴリー・クンデ
レスコー:アレッサンドロ・ルオンゴ
ローマ歌劇場管弦楽団
ローマ歌劇場合唱団
*※表記の出演者は2018年1月15日現在の予定です。病気や怪我などのやむを得ない事情により出演者が変更になる場合があります。その場合、指揮者、主役の歌手であっても代役を立てて上演することになっておりますので、あらかじめご了承ください。
■料金(税込)
S席¥54,000 A席¥47,000 B席¥40,000 C席¥33,000
D席¥26,000 E席¥19,000 F席¥12,000
学生券¥8,000
*学生券はNBS WEBチケットのみで2018.8/3(金)18:00より受付開始。