2020年7月定期の聴きどころ

 7月の定期は生誕250年のベートーヴェン・プログラム。ヴァイオリン協奏曲、交響曲第3番「英雄」と両ジャンルの名曲が並んでいる。演目的にみれば、今年多く行われるであろうベートーヴェン・プロの1つ。だが名誉音楽監督のチョン・ミョンフンが指揮するとなれば話は違う。なぜならベートーヴェンは、2002〜03年にチョン・ミョンフンと東京フィルが交響曲全曲演奏会を行い、ダイナミックで熱い名演を展開して当コンビの魅力を印象付けた記念碑的な演目だからだ。しかもその第1回のメインが第3番「英雄」だった。あれから18年、長き関係を重ねたチョン・ミョンフン&東京フィルは、エネルギッシュな中にも余情や行間を感じさせる熟成した表現を聴かせるようになった。ベートーヴェンでいえば、18年《フィデリオ》の深く感動的なドラマ、19年「第九」の力感と味わいが共生した快演が記憶に新しい。さて、そうした彼らが今いかなる「英雄」を聴かせてくれるのか? 大いに注目される。

 ヴァイオリン協奏曲における服部百音のソロも楽しみだ。10代前半から国内外で活躍を続ける彼女は、繊細にして気迫あふれる演奏を聴かせる類い稀な俊才。堅牢かつ瑞々しい音楽作りと伸びのある美音もベートーヴェンの協奏曲にふさわしく、チョン・ミョンフンに触発されてのプラスアルファを含めて、今回への期待は大きい。
文:柴田克彦


【公演情報】

第940回 サントリー定期シリーズ
2020.7/15(水)19:00 サントリーホール
第135回 東京オペラシティ定期シリーズ
2020.7/17(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
第941回 オーチャード定期演奏会
2020.7/19(日)15:00 Bunkamura オーチャードホール

指揮:チョン・ミョンフン
ヴァイオリン:服部百音

ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲
ベートーヴェン/交響曲第3番「英雄」

発売日
 最優先(賛助会員・ 定期会員):2月8日(土)
 優先(東京フィルフレンズ会員):2月15日(土)
 一般:2月25日(火)