特別演奏会 ハートフルコンサート2020 

 8月15日。この日は、日本人にとって特別の感慨に囚われざるを得ない日だ。今から75年前のこの日、日本は長らく続いた無益な戦争に終止を打って敗戦を認め、平和への第一歩を踏み出した。日中戦争から数えれば8年間も国民は戦争に苦しめられてきた。しかしこの日からようやく、戦争の魔の手を直接に感じずに済む生活環境を取り戻したのである。その日の安堵感と喜びを実際に体験された方々は少数になりつつあるが、その数少ないお一人に、1984年以来ユニセフ親善大使として国際平和活動に貢献するタレント、黒柳徹子さんがおられる。黒柳さんはアフガニスタンやソマリアなど紛争地域の視察と支援活動を通じて、いかに平和が大切かを訴え続けて来られた。一方、東京フィルハーモニー交響楽団が毎年8月15日に開催する「ハートフルコンサート」のお話役としても出演し、音楽の紹介とともに、平和のありがたさ、大切さを訴えてこられた。その活動は今年でもう31年になる。

 筆者は昨年のこのコンサートに出掛け、黒柳さんのお話の真摯さ、生々しさに打たれ、日頃、空気のように当たり前に感じている平和日本の日常がいかに稀有なもので、先人たちの犠牲と苦労の上に築かれていることに改めて気づき、そのことに感謝しながら、スッペ、オッフェンバック、グレン・ミラー、ドヴォルザーク、そして、ラヴェルの名曲の数々に耳を傾けた。どの曲も聴きやすく、かつ変化にも富み、尾高忠明指揮東京フィルの名演とあいまって実に楽しめた。ことにラヴェルの「ボレロ」では各楽器の音色をたっぷりと味わい、なかでも、終始一貫して同じリズムを揺るぎなく刻み続ける小太鼓の妙技に感嘆した。今年も同じ、黒柳さん、尾高マエストロのコンビで「ハートフルコンサート」が開かれる。お一人でも多くの皆様に足を運んでいただき、黒柳さんの説得力あるお話と東京フィルのすてきな音楽を通じて、平和への思いを新たにしていただければ、こんな心強いことはない。
文:萩谷由喜子

2019年のハートフルコンサートより黒柳徹子(左)と尾高忠明

【公演情報】
2020.8/15(土)18:30 東京芸術劇場コンサートホール
お話:黒柳徹子
指揮:尾高忠明 ほか

公演詳細:4月下旬に下記、東京フィルの公式サイトにて発表予定
チケット発売:6月予定
https://www.tpo.or.jp