東京フィルの特別客演指揮者ミハイル・プレトニョフが10月定期シリーズで披露するのは、ビゼーの交響曲第1番とリストのファウスト交響曲という、ダブル交響曲プログラム。同じ「交響曲」と題されながらも、まったく対照的な性格を持つふたつの作品が並べられた。
ビゼーの交響曲第1番は作曲者17歳の年に書かれた初期の習作。交響曲の基本フォーマットに忠実に従った純音楽作品だが、生前は演奏されることもなく、歴史に埋もれてしまう。しかし後に再発見されると、みずみずしい青春の息吹が感じられる作品として、幅広い人気を獲得することになった。
一方のリストは標題性を前面に打ち出した大作。ゲーテの『ファウスト』を題材として、3つの楽章はそれぞれ「ファウスト」「グレートヒェン」「メフィストフェレス」の3人の登場人物の性格描写にあてられる。声楽も加わるなど、交響曲としては型破りな野心作だ。
名匠プレトニョフと東フィルのコンビが、両極にある交響曲の魅力を紡ぎ出す。
文:飯尾洋一
2019年10月17日(木)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
第927回オーチャード定期演奏会
2019年10月20日(日)15:00 Bunkamura オーチャードホール
第928回サントリー定期シリーズ
2019年10月21日(月)19:00 サントリーホール
指揮:ミハイル・プレトニョフ
テノール:イルカー・アルカユーリック*
男声合唱:新国立劇場合唱団*
ビゼー/交響曲第1番
リスト/ファウスト交響曲*