アンドレア・バッティストーニと東京フィルは、今いちばん乗りに乗る組み合わせのひとつだろう。雄大なスケール感と透明感あふれる繊細さ、美しい「歌」と豊かな色彩、そして一気呵成に持って行かれる鮮やかなテンション・・・バッティストーニはと東京フィルから豊かな可能性を引き出し、オーケストラも嬉々としてそれに応える。客席にいてもビンビンと伝わってくる両者の一体感は、とても心地のいいものだ。
9月の定期演奏会では、ホルストの大曲「惑星」がメイン。世紀末から20世紀前半にかけての、豊麗なオーケストレーションを施され、かつ絵画的で豊かなイメージを喚起する作品は、バッティストーニが最も得意とするところ。大作ほど燃える、という彼の気質も本作にぴったりだ。めくるめく「バッティストーニ・マジック」で虜にしてくれることだろう。
協奏曲はヴィヴァルディの「四季」。バッティストーニと同じイタリア人作曲家の言わずと知れた名作だが、オペラに共通する歌謡性(ヴィヴァルディもオペラの大家だった)とバロックならではの外連味を、バッティストーニがどう表現してくれるのか。自由奔放な木嶋真優のソロとあわせて、興味は尽きない。
文:加藤浩子
2019年9月13日(金)19:00 サントリーホール 大ホール
第926回オーチャード定期演奏会
2019年9月22日(日)15:00 Bunkamuraオーチャードホール
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指揮:アンドレア・バッティストーニ
ヴァイオリン:木嶋真優*
女声合唱:新国立劇場合唱団**
ヴィヴァルディ/『四季』*
ホルスト/組曲『惑星』*