ファゴット首席 チェ・ヨンジン ©上野隆文
2019年1月定期は、首席指揮者バッティストーニが贈る”おとぎ話”プログラム。『シェエラザード』『魔法使いの弟子』などで大活躍するファゴットの魅力を、ファゴット首席奏者チェ・ヨンジンが語ります。
<2019年1月定期の公演情報はこちら。>
ストラヴィンスキー『春の祭典』くらいわくわくする曲!
2017年5月定期バッティストーニ指揮『春の祭典』より。
ファゴットのソロで始まることで有名
©上野隆文
「『シェエラザード』を初めて演奏したのは、ダン・エッティンガー指揮の東京フィルだったと思います。ロシアの曲は、同じメロディをさまざまな楽器で、それぞれの個性を思う存分発揮しながら演奏することができる点が魅力です。たとえば、チャイコフスキーの交響曲第4番、第2楽章の最初のオーボエ・ソロと最後のファゴット・ソロが代表的で、それぞれの大きな違いを感じることができる例です。
ファゴットは、そういったときにメロディを受け渡す“リレー”の、最後を担当する場合が多いですが、『シェエラザード』の第2楽章では、「カランダール王子」の雰囲気描写がファゴットに委ねられているのは確実です。ファゴットが最初の“バトン”を持ってリレーが始まる、とても珍しい例です。私にとっては、ストラヴィンスキーの『春の祭典』くらいわくわくする曲ですし、このようなコンサートで演奏するとソリストとしての役割を実感します。また、初めての指揮者とは新しいアイディアを得られる期待感も高まります。1月の『シェエラザード』は、マエストロ・バッティストーニとどんなやりとりが生まれるのか。あるいは、奏者の個性に委ねられるのか。楽しみな演奏会です」。
現代の“若き魔術師”バッティストーニ
「マエストロ・バッティストーニは管楽器奏者に負担のかかるような指示はしないながらも、音楽的には深くて、演奏する側が納得できるような的確な指示をできる、素晴らしい指揮者だと思います。指揮する時のモーションがとても大きい方ですが、全く邪魔にならず、日本人の正確さに情熱を呼び覚ます火種を撒くことのできる、“若き魔術師”だと思います。
『魔法使いの弟子』でのファゴット・ソロはやはりディズニー映画『ファンタジア』でのミッキーマウスの行動を思い出させます。マエストロ・バッティストーニは、それとは全く違う雰囲気の魔法を使うかも……? 期待が高まります」
マエストロ・バッティストーニとのカーテンコール。
オーケストラメンバーにも笑みが浮かびます
©上野隆文
(2018年10月のインタビューより)
【2019年1月定期演奏会】
バッティストーニが紡ぎ出す、色鮮やかな物語。
第914回サントリー定期シリーズ
2019年1月23日[水] 19:00開演(18:30開場)
サントリーホール
第122回東京オペラシティ定期シリーズ
2019年1月25日[金] 19:00開演(18:30開場)
東京オペラシティ コンサートホール
第915回オーチャード定期演奏会
2019年1月27日[日] 15:00開演(14:30開場)
Bunkamura オーチャードホール
曲目
デュカス/交響詩『魔法使いの弟子』
ザンドナーイ/『白雪姫』
リムスキー=コルサコフ/交響組曲『シェエラザード』