2022年に創立70周年を迎える東京二期会。
1952年に中山悌一、柴田睦陸、川崎靜子、三宅春惠が中心となって16名の若き声楽家グループから始まった「二期会」は、今や2,700名を越える声楽家が所属する「公益財団法人東京二期会」へと拡大した。今もその継承発展を支えているのは若き新進歌手の存在だろう。毎年のように才能ある歌手が登場するのが東京二期会の特長のひとつといっていい。
5月22日(土)、23日(日)に、めぐろパーシモンホール 大ホールで開催される二期会ニューウェーブ・オペラ劇場《セルセ》(新制作)は、東京二期会が3年に1度開催しているシリーズ公演。二期会オペラ研修所を修了した新進のオペラ歌手を中心にキャスティングされ、ここをデビューの舞台として多くのスター歌手が誕生してきた。今回はどのような新人が登場するのか大いに期待したい。
また、前々回から指揮を、古楽界の世界的チェリストで指揮者でもある鈴木秀美が務めている。鈴木の発案により、特別編成の古楽オーケストラ「ニューウェーブ・バロック・オーケストラ・トウキョウ(NBO)」も創設された。二期会ニューウェーブ・オペラ劇場は、国内では数少ない本格的なバロック・オペラの上演としても注目だ。
演出は、今回がオペラ初演出となるダンサー・振付家の中村蓉。6年前《ジューリオ・チェーザレ》では振付を担当。今年8月の《ルル》ではダンサーとして出演を予定している。気鋭のコンテンポラリー・ダンサーとして注目を集める中村だけに、二期会の若手歌手とどのような動きのある舞台を作り出すのだろうか。興味は尽きない。
《セルセ》は、題名役が歌う〈オンブラ・マイ・フ〉だけが突出して有名だが、物語は紀元前480年頃のペルシャの宮廷を舞台にしたコメディタッチの恋愛劇。ヘンデルの音楽も明るく華やかさに満ちている。
本公演の前に、舞台のコンセプトや楽曲について触れておきたいと思ったら、4月24日(土)めぐろパーシモンホール 小ホールにてプレイベントが企画されている。そこでは、中村蓉が実際に舞台コンセプトを語り、キャストの中からソプラノ雨笠佳奈とテノール澤原行正が歌唱を披露する。ワンコインで気軽に楽しめるので、興味のある方はぜひ本公演の前に足を運ばれたい。
【Information】
プレイベント情報
ヘンデル《セルセ》公演 プレトーク&コンサート
2021.4/24(土)14:00(13:30開場) めぐろパーシモンホール 小ホール
出演:中村 蓉(演出家・舞踊家)、雨笠佳奈(ソプラノ)、澤原行正(テノール)、上尾直毅(チェンバロ)
料金:全席自由 500円(発売中)
*二期会ニューウェーブ・オペラ劇場《セルセ》公演情報は下記ウェブサイトでご確認ください。
http://www.nikikai.net/lineup/serse2021/index.html
【動画】
ベルク《ルル》より「ルルの歌」 ダンサー中村蓉のパフォーマンス
2020.7/11 東京二期会『スペシャル・オペラ・ガラ・コンサート「希望よ、来たれ!」』より
歌:森谷真理/指揮:沖澤のどか/管弦楽:東京交響楽団