11月25日、日生劇場でJ.シュトラウスIIのオペレッタ《こうもり》が開幕した。本公演は、ベルリン・コーミッシェ・オーパーとの提携で、東京二期会オペラ劇場 NISSAY OPERA 2021 として上演される。2022年に創立70周年を迎える二期会の一連の記念公演の一環でもある。大評判をとった17年の日本初演からの待望の再演だ。
去る11月24日に行われた小林啓倫組の最終総稽古(ゲネラルプローベ)を取材した。
(2021.11/24 日生劇場 撮影・文:寺司正彦)
《こうもり》は、オペレッタの最高峰とも言うべき傑作。楽しく豪華で、肩の力を抜いて気軽に楽しめる。本公演では、日本語字幕付き原語(ドイツ語)歌唱に加え、セリフは日本語だから、オペラ、オペレッタが初めてでも楽しめる。
演出は、アンドレアス・ホモキ。日本では08年びわ湖ホール・神奈川県民ホールの《ばらの騎士》、新国立劇場での03年《フィガロの結婚》(これはもう幾度も再演を重ねている名舞台)で、国内でもおなじみの名匠だ。ここでも、ホモキならではのエレガントな舞台は健在だ。コロナ禍でもまったく遜色ない。
さて、歌手陣に目を向けると、ロザリンデ役の木下美穂子をはじめ、新国立劇場オペラ研修所出身で前回17年公演の同演目ファルケ役で二期会デビューを飾った小林啓倫が今回はアイゼンシュタイン役を歌うほか、近年着々と進化を遂げるファルケ役の加耒徹、難役・オルロフスキーを歌う成田伊美、そして、アデーレ役の雨笠佳奈、イダ役の内山侑紀など、今後の二期会の発展に期待が持てる新進の歌手も登場し、舞台を盛り上げる。
また、本公演では、なんと言っても話題なのが、看守フロッシュ役の森公美子だ。もともとフロッシュはセリフと演技だけの役だが、オペラ歌手を志し、現在はミュージカルや演劇で大活躍の森だけに、声がよく通り、随所で歌も披露する活躍ぶり。セリフと演技の時間も一般的な《こうもり》よりも長い。お客を笑わせるツボを心得ているから、マスク越しにも大声で笑いたくなること請け合いだ。日替わりのアドリブもあるから全日程観ても退屈しないだろう。
ピットでの演奏は、川瀬賢太郎指揮・東京交響楽団。オペラの指揮を数多く重ねている川瀬のもと、溌剌とした元気みなぎる演奏が印象的だ。
演出のホモキは、11月上旬より今回リモートでの参加。ゲネラルプローベの終了後、「舞台稽古で5日間連続で《こうもり》を観ると、通常なら頭がクラクラしてきますが、今回はほんとうに楽しかった。複雑な動きもあって演技がほんとうに難しいけれども、みなさんよくやってくれている。演奏もすばらしい」と絶賛した。
公演は11月28日まで。
【Information】
二期会創立70周年記念公演
ベルリン・コーミッシェ・オーパーとの提携公演
《こうもり》(全3幕、日本語字幕付き原語(ドイツ語)歌唱、日本語台詞上演)
2021.11/25(木)18:30、11/26(金)14:00、11/27(土)14:00、11/28(日)14:00 日生劇場
指揮:川瀬賢太郎
演出:アンドレアス・ホモキ
出演
アイゼンシュタイン:又吉秀樹(11/25, 11/27) 小林啓倫(11/26, 11/28)
ロザリンデ:幸田浩子(11/25, 11/27) 木下美穂子(11/26, 11/28)
フランク:斉木健詞(11/25, 11/27) 杉浦隆大(11/26, 11/28)
オルロフスキー:郷家暁子(11/25, 11/27) 成田伊美(11/26, 11/28)
アルフレード:澤原行正(11/25, 11/27) 金山京介(11/26, 11/28)
ファルケ:宮本益光(11/25, 11/27) 加耒徹(11/26, 11/28)
ブリント:髙梨英次郎(11/25, 11/27) 大川信之(11/26, 11/28)
アデーレ:高橋維(11/25, 11/27) 雨笠佳奈(11/26, 11/28)
イダ:渡邊史(11/25, 11/27) 内山侑紀(11/26, 11/28)
フロッシュ:森公美子(全日出演)
合唱:二期会合唱団
管弦楽:東京交響楽団
問:二期会チケットセンター03-3796-1831
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