【19年6月定期】尾高忠明と髙木竜馬によるロシア人気作

 尾高忠明と東京フィルは特別な関係にある。尾高は27歳の年 = 1974年に同楽団の常任指揮者として初のポストをもち、91年まで17年間務めて飛躍の礎を築いた。彼はその後も桂冠指揮者として再三客演し、東京フィル創立100周年記念公演も指揮。それゆえ両者の共演は独特の親密さや一体感を有している。さらに、BBCウェールズ響や札響、現在の大阪フィルほかシェフの経験を多数重ねて古希を超えた今、尾高の音楽は円熟味を増し、堅牢かつ雄弁で懐の深さを感じさせる。となれば今回も、密度の濃い充実した演奏が展開されるであろう。

 もう1つの注目ポイントは、俊英ピアニストの髙木竜馬。1992年生まれの彼は、高校在学中にウィーン国立音大に首席で合格し、ドイツ、ウィーン、ロシアの各奏法に加えて古楽器や指揮法を学んでいる。受賞歴も数多く、2018年9月にはグリーグ国際ピアノコンクールで優勝。すでにウィーン楽友協会をはじめ世界各地の著名ホールで演奏し、内外の様々なオーケストラと共演している。今回は幅広い音楽性をもったこの逸材のソロにも大いに期待したい。

 プログラムには、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番、チャイコフスキーの交響曲第5番と、この上ないロシアの人気作が並ぶ。ラフマニノフは髙木がグリーグ・コンクールのファイナルで演奏した自信の演目であり、チャイコフスキーも尾高の円熟の表現を聴くに相応しい作品。これはビギナーもマニアも心置きなく楽しめるコンサートだ。
文:柴田克彦

尾高忠明

第126回東京オペラシティ定期シリーズ
2019年6月20日(木)19:00 東京オペラシティ コンサートホール

指揮:尾高忠明
ピアノ:髙木竜馬*
(2018年第16回グリーグ国際ピアノコンクール優勝)

ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第2番*
チャイコフスキー/交響曲第5番

髙木竜馬