3月定期演奏会でのグルダ「コンチェルト・フォー・マイセルフ」は、ジャズ・ピアノのソロにドラムとエレクトリック・ベースが加わっての、“ピアノ・トリオ”との共演が大きな見どころ。今回、ピアニスト小曽根真とともに欧米で演奏活動を重ねてきた2人のプレイヤーが加わります。
1988年3月、ミュンヘンで作曲家自身の弾き振りで初演されてから、3月でちょうど30年。時空を超えた作曲家のメッセージを、現代最高のプレイヤーたちとともにお届けします。
今回、ジャズ・ミュージシャンの中でもクラシック音楽に造詣が深く、共演歴も多い2人の音楽家とのトリオで東京フィルと共演することに喜びを感じています。
グルダは元々クラシックのピアニストとして成功しながら、クラシックだけではつまらなくなってジャズを試み、再びクラシックに戻り……と、ジャンルを行き来していた人です。「コンチェルト・フォー・マイセルフ」はジャズっぽいところが確かにありますが、どちらかとい うと「モーツァルトが1970年代に生きていたらこんな曲を書いたんじゃないかな」というような、クラシックから見たジャズや他のジャンルの音楽のイメージを形にしたもののように思えます。ですから“本格的な”ジャズ作品ではないかもしれません。しかし、作品からはジャンルの越境に対するグルダの思いが伝わってきます。
グルダは、1993年の来日会見の際に、 「日本には小曽根真という素晴らしい若いピアニストがいる」とコメントしてくださったと聞いています。僕は直接には会えませんでしたが、僕のことを知っていてくれた彼が30年前に書いた音楽を、今この時代に生きる僕たちの演奏で進化させて実現させられることに大きな意味を感じています。演奏会は3日ありますから、3日とも違ったものが生まれるはず。僕達がやっている音楽は、先の予測がつかない中で起こる事柄に一つ一つ対処して、自分の“手”を繰り出していくという点では皆さんの人生と同じです。ぜひ、“予測不能”な一度限りの体験を楽しんでいただきたいと思います。
クラレンス・ペン 【Instagram】
ロバート・クビスジン 【Instagram】
【公演情報】
■第116回東京オペラシティ定期シリーズ
2018.3/7(水)19:00 東京オペラシティコンサートホール
■第904回サントリー定期シリーズ
2018.3/9(金)19:00 サントリーホール
■第905回オーチャード定期演奏会
2018.3/11(日)15:00 Bunkamuraオーチャードホール
●出演
指揮:アンドレア・バッティストーニ
ピアノ:小曽根 真*
ドラムス:クラレンス・ペン*
エレクトリック・ベース:ロバート・クビスジン*
●曲目
グルダ/コンチェルト・フォー・マイセルフ*
ラフマニノフ/交響曲第2番
問:東京フィルチケットサービス 03-5353-9522(平日10時〜18時、12/23(土)は10時〜16時)
東京フィルWebチケットサービス http://tpo.or.jp/(24 時間受付・座席選択可)