いきなりで申し訳ないけれど、まずはクイズをひとつ。次の9人の指揮者たちは、いったいどういう順に列挙されているのでしょうか?
佐渡裕 — 大植英次 — 尾高忠明 — ダン・エッティンガー — アンドレア・バッティストーニ — アヌ・タリ—ユー・ロン — クリスティアン・バスケス — チョン・ミョンフン。
すぐにわかった方は相当な東京フィル通だ。いや、誰でもすぐにピンと来るかもしれない。この9人は震災の年2011年以降、東京フィル「第九」を振ってきた歴代のマエストロたちなのだ。顔ぶれを見ただけで、その年、その年の東京フィル「第九」の思い出がよみがえり、感慨に浸られる方もおられることだろう。彼らはまさにこの10年の東京フィルの歩みの象徴でもある。そこで、第2問。最後のチョン・ミュンフンの次にくる10人目のお名前は?
そう、正解は「尾高忠明」。今年は東京フィル桂冠指揮者の7年ぶりの第九への登場となる。筆者は2020年1月21日、サントリーホールで大阪フィルを指揮する尾高を聴いたが、相変わらずのアンサンブルの緻密さと、繊細さと大胆さの両極に非常に広いアレンジを見せながら、どんなに大音量でオーケストラを鳴らしても決して気品を失わないこのマエストロの持って生まれた気質にあらためて感嘆した。今年12月の東京フィル「第九」にもこうした特質は存分に発揮されるに違いない。それにしても、毎年個性豊かなマエストロによる、色とりどりの第九を聴かせてくれる東京フィル。ありがたいことだ。心からの感謝を捧げたい!
文:萩谷由喜子
ベートーヴェン『第九』特別演奏会2020
2020.12/18(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
https://www.tpo.or.jp/concert/20201218-01.php
12/19(土)19:00 サントリーホール
https://www.tpo.or.jp/concert/20201219-01.php
12/20(日)15:00 Bunkamura オーチャードホール
https://www.tpo.or.jp/concert/20201220-01.php
11/11(水)発売
指揮:尾高忠明
ソプラノ:吉田珠代
アルト:中島郁子
テノール:清水徹太郎
バリトン:伊藤貴之
合唱: 新国立劇場合唱団
ベートーヴェン/交響曲第9番 ニ短調「合唱付」 作品125