近年、チョン・ミョンフンはモーツァルトに力を入れている。古楽奏法とは一線を画した、よく歌うモーツァルトは今ではむしろ珍しくすらあるけれど、彼がオーケストラから導き出す美しい響きで紡がれるモーツァルトは実に魅力的なものだ。
2016年には第40番とチャイコフスキーの交響曲第4番を演奏した彼が、新シーズン(2018年1月)にモーツァルト最後の交響曲と組合せるのはベルリオーズの代表作、「幻想交響曲」だ。古典的均整美の極地とも言えるだろう「ジュピター」と、標題音楽や私小説など音楽外の要素をも交響曲に取り込んだ「幻想」を並べるのは少々意外にも思える。作品のイメージから思うほど時間的には離れた作品ではないが、この二曲の間にはフランス革命が起きて、音楽のあり方そのものが大きく変わっているからだ。世界史的大事件前後の二作を、チョン・ミョンフンと東京フィルはどう聴かせてくれるものか、コンサートを楽しみに待とう。
第901回オーチャード定期演奏会
2018年1月28日(日)15:00 Bunkamuraオーチャードホール
第114回東京オペラシティ定期シリーズ
2018年1月24日(水)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
第900回サントリー定期シリーズ
2018年1月25日(木)19:00 サントリーホール 大ホール
指揮:チョン・ミョンフン
モーツァルト/交響曲第41番『ジュピター』
ベルリオーズ/幻想交響曲
問:東京フィルチケットサービス03-5353-9522(平日10:00〜18:00)