出演者が語る、《外套》の登場人物像

 プッチーニのオペラ『三部作』の最初は《外套》。1910年、舞台はパリのセーヌ川の倉庫が立ち並ぶ船着場。登場人物たちはそこで働く市井の人々。貧しいながらもバイタリティ溢れる人物たちが登場する。幼児の死、妻の不貞、愛人の殺害といった非常に重苦しいドラマの展開の中で描こうとしているものは、人間の強烈な個性と、生きていくことの意味と力なのかもしれない。

<ミケーレ>
今井俊輔(7日・9日)「貨物船の船長でミケーレという役を演じさせていただきます。年老いていて妻のジョルジェッタとは25歳の年齢差があります(ミケーレの年齢設定は50歳)」
上江隼人(6日・8日)「ミケーレはバリトンにとって発声的にも、芝居的にもとても難易度の高い役です。譜面を通して感じたことは、『外套』は他の作品に比べてぎこちない世界観が見事に音楽になっているように感じます」
今井 「ミケーレはジョルジェッタとの子を無くし、打ちひしがれ、時も過ぎ髪の毛も灰色になってしまった。その過程で、貝のように自分を守るかのように「外套」を身にまとい、殻に閉じこもってしまった。無口ながらも、それでもなんとか妻と幸せだった頃に戻りたいと切実に願っている。また、とても父性に溢れる人物だと感じます」
上江 「子供の事を今でも背負いながら生きている彼はいつしか、妻に対しても自分を閉ざし、屈折してしまったのかもしません。ぎこちなさ、もどかしさをどう表現するかがネックになってくると思います」
<ジョルジェッタ>
北原瑠美(6日・8日)「ジョルジェッタはミケーレの妻です。幼い息子を亡くしてしまったことから夫婦の間は冷め、ジョルジェッタは年若いルイージとの不倫に走ります。」
文屋小百合(7日・9日)「ジョルジェッタは、夫と仕事の話もでき、部下の世話もこなすしっかりした女性です。子どもを亡くしたことをきっかけに夫婦の関係も冷めてしまっています。悲しみを引きずっている夫にはうんざり…私だって悲しいのに!子どもがいたらきっとよい夫婦でいられたかもしれない…」
北原 「彼女自身は決して特別なヒロインでも、悪女でもありません。ごく平凡な女性なのだと思います。しかし、そんな等身大の彼女の渇望する姿に共感し、魅力を感じます。ジョルジェッタのアリアには陸上の生活に焦がれる若い女性らしいエネルギーが満ち溢れており、イージとの二重唱における切羽詰まった熱情、ミケーレとの苦悩をぶつけ合うシーンなども見ごたえ、聴き応えがあると思います」
<ルイージ>
芹澤佳通(7日・9日)「ルイージは20才の青年で、ミケーレ船長もとで積み荷の荷降ろしをしています。彼はミケーレの妻、ジョルジェッタと不倫関係にあり、ミケーレの目を盗んでは逢い引きを重ねています」
樋口達哉(6日・8日)「感情を直線的に表してしまう若い船乗り。
いつまで経っても、どこまで行っても何一つ変わらない現実、今の暮らしには絶望しかなく、早くこの生活から抜け出したいという思い。心の中でも「負のスパイラル」が続くというやるせなさ。もう、どうしようもないというツラさ。――俺はこのままでいいのか?―― 過ぎてゆく青春をアリアで嘆きます」
芹澤 「ルイージには2曲のアリアがあり、2曲目のアリア「お前の唇が欲しい」は、感情のたがが外れ、ジョルジェッタへの溢れ出る思いが狂気へと変貌していくほど激しい曲。命がけで歌います…」
樋口 「2つのジョルジェッタとの二重唱も聴かせます!辛いながらも暗い情熱に溢れたジョルジェッタ。同じ旋律を追いかけながらの甘美で優美な旋律。しかしながら、お互いの気持ちには微妙なズレが……後半の二重唱も、ダメだとわかっちゃいるけど、盛り上がったら止まらない想いが溢れてきます!」
<ティンカ>
児玉和弘(6日・8日)「私が演じるティンカは、港で働く中年(設定では35歳)で、肉体労働者。アル中です」
新津耕平(7日・9日)「『外套』に出演する男性はそれぞれ共通する点、重なる点があると思っています。ルイージが仕事に邁進すればミケーレになり、家庭の幸福を選べばタルパになり、どちらも選ばず、逃げ出すこともしないと、酒に溺れるティンカになる。だからなのか、自分にない「若さ」と「女」を持つルイージには嫉妬しています」
<タルパ>
北川辰彦(7日・9日)「タルパは人生に大きな欲もなく、ただ毎日同じ日々を過ごしてきたのではないでしょうか。毎日同じように起きて、仕事して、帰って妻と飼い猫と一杯のワインを愛でる。そしてまた明日のために寝る。唯一夢見るは、小さな家を買うこと。何もないことが幸せ(設定では55歳)」
清水那由太(6日・8日)「日常に閉塞感を覚えつつもそれをどうすることもできない、どうにかする術を知らないひとりの人間として、本番当日の舞台にいられたらと思います」
<フルーゴラ>
塩崎めぐみ(6日・8日)「私が演じるフルーゴラは、「ゴミ拾い」を生業にしていながら、他の登場人物とは違い、人生を前向きに捉えています。「個々の価値観で、状況は色々な風に捉える事が出来る」と言うメッセージが、この役を通して訴えられているように感じつつ、役作りに取り組んでおります」
小林紗季子(7日・9日)「イタリア語のfrugolare(くまなく探す)からフルーゴラとあだ名がつけられました。他の人にはゴミであっても彼女にとっては宝物であり、毎日色々なものを探しだし、旦那のタルパに見せています。また、フルーゴラが拾い集めてきたものをジョルジェッタに見せるアリアがあります!オペラの内容はドロドロな人間模様ですが音楽はとても美しく素晴らしいです」
<流しの唄うたい>
高田正人(6日・8日)「流しの歌うたいです。一見物語に関係の無い、気楽なキャラクターに見えますが、「恋に生きたものは、恋に死んで行く」という歌詞は、ある意味この「外套」という物語の本質を突いているのかもしれません」
西岡慎介(7日・9日)「ヨーロッパを旅したり、生活をすれば、今でもレストランや、街の通りなどで良く見ることができる、街から街へと渡り歩く歌い手です。それが流しの唄うたいの姿です」
<若い恋人たち>を代表して
新海康仁(6日・8日)「ストーリーの中心にあるドロドロした恋愛模様とは真逆で、幸せいっぱいのカップルで、突然現れます。陰湿な物語の中にあって爽やかな印象を与え、それによってより暗さが強調されるのです」
新垣有希子(6日・8日)
「今回の演出では、『ジャンニ・スキッキ』の娘ラウレッタと、リヌッチョが一瞬だけここに登場します。本当に一瞬ですので、皆様、お見逃がしなく!!」

 

《デンマーク王立歌劇場とアン・デア・ウィーン劇場との提携公演》
東京二期会オペラ劇場 〈三部作〉外套/修道女アンジェリカ/ジャンニ・スキッキ

新国立劇場 オペラパレス
2018.9/6(木) 18:30 7(金) 8(土) 9(日) 14:00

スタッフ
指揮:ベルトラン・ド・ビリー
演出:ダミアーノ・ミキエレット
演出補:エレオノーラ・グラヴァニョーラ
照明:アレッサンドロ・カルレッティ

合唱指揮:冨平恭平
公演監督:牧川修一

合唱:二期会合唱団、新国立劇場合唱団、藤原歌劇団合唱部
管弦楽: 東京フィルハーモニー交響楽団

キャスト

『外套』
ミケーレ:上江隼人(9/6、9/8)今井俊輔(9/7、9/9)
ジョルジェッタ:北原瑠美(9/6、9/8)文屋小百合(9/7、9/9)
ルイージ:樋口達哉(9/6、9/8)芹澤佳通(9/7、9/9)
フルーゴラ:塩崎めぐみ(9/6、9/8)小林紗季子(9/7、9/9)
タルパ:清水那由太(9/6、9/8)北川辰彦(9/7、9/9)
ティンカ:児玉和弘(9/6、9/8)新津耕平(9/7、9/9)
恋人たち:新垣有希子(9/6、9/8)新海康仁(9/6、9/8)舟橋千尋(9/7、9/9)前川健生(9/7、9/9)
流しの唄うたい:高田正人(9/6、9/8)西岡慎介(9/7、9/9)

『修道女アンジェリカ』
アンジェリカ:北原瑠美(9/6、9/8)文屋小百合(9/7、9/9)
公爵夫人:中島郁子(9/6、9/8)与田朝子(9/7、9/9)
修道院長:塩崎めぐみ(9/6、9/8)小林紗季子(9/7、9/9)
修道女長:西館 望(9/6、9/8)石井 藍(9/7、9/9)
修練女長:谷口睦美(9/6、9/8)郷家暁子(9/7、9/9)
ジェノヴィエッファ:新垣有希子(9/6、9/8)舟橋千尋(9/7、9/9)
看護係修道女:池端 歩(9/6、9/8)福間章子(9/7、9/9)
修練女 オスミーナ:全 詠玉(9/6、9/8)高品綾野(9/7、9/9)
労働修道女Iドルチーナ:栄 千賀(9/6、9/8)高橋希絵(9/7、9/9)
托鉢係修道女I:小松崎 綾(9/6、9/8)鈴木麻里子(9/7、9/9)
托鉢係修道女II:梶田真未(9/6、9/8)小出理恵(9/7、9/9)
労働修道女II:成田伊美(9/6、9/8)中川香里(9/7、9/9)

『ジャンニ・スキッキ』
ジャンニ・スキッキ:上江隼人(9/6、9/8)今井俊輔(9/7、9/9)
ラウレッタ:新垣有希子(9/6、9/8)舟橋千尋(9/7、9/9)
ツィータ:中島郁子(9/6、9/8)与田朝子(9/7、9/9)
リヌッチョ:新海康仁(9/6、9/8)前川健生(9/7、9/9)
ゲラルド:児玉和弘(9/6、9/8)新津耕平(9/7、9/9)
ネッラ:小松崎 綾(9/6、9/8)鈴木麻里子(9/7、9/9)
ベット:大川 博(9/6、9/8)原田 圭(9/7、9/9)
シモーネ:清水那由太(9/6、9/8)北川辰彦(9/7、9/9)
マルコ:小林大祐(9/6、9/8)小林啓倫(9/7、9/9)
チェスカ:塩崎めぐみ(9/6、9/8)小林紗季子(9/7、9/9)
スピネロッチョ:倉本晋児(9/6、9/8)後藤春馬(9/7、9/9)
公証人アマンティオ:香月 健(9/6、9/8)岩田健志(9/7、9/9)
ピネッリーノ:湯澤直幹(9/6、9/8)高田智士(9/7、9/9)
グッチョ:寺西一真(9/6、9/8)岸本 大(9/7、9/9)

●入場料金(税込)
◆[9月6日(木)・8日(土)・9日(日)公演] 一般:S席 ¥17,000 A席 ¥14,000 B席 ¥11,000 C席 ¥8,000 D席 ¥5,000 学生席 ¥2,000
愛好会会員:S席 ¥16,000 A席 ¥13,000  B席 ¥10,000

◆[9月7日(金)公演]平日マチネ・スペシャル料金
一般:S席 ¥15,000 A席 ¥12,000 B席 ¥10,000 C席 ¥8,000 D席 ¥5,000 学生席 ¥2,000
愛好会会員 S席 ¥14,000 A席 ¥11,000 B席 ¥9,000

※チケットお申込みと同時に愛好会へもご入会いただけます。
※チケット購入後のお取消、日程の変更はできません。
※二期会オペラ愛好会の特典は二期会チケットセンターでチケットをご購入された場合に限り適用されます。
※学生席のご予約は二期会チケットセンター電話のみのお取扱いです。
※未就学児の入場はお断りします。

●ご予約・お問合せ
チケットスペース:03-3234-9999
二期会チケットセンター:03-3796-1831
(平日10:00〜18:00/土曜10:00〜15:00/日・祝休業)
http://www.nikikai.net/ticket/