東京二期会が9月6日から、新国立劇場オペラパレスを舞台に、プッチーニのオペラ『三部作』《外套》《修道女アンジェリカ》《ジャンニ・スキッキ》を上演する。
8月1日から始まった稽古は終盤に入り、指揮のベルトラン・ド・ビリー、演出のダミアーノ・ミキエレットも参加した稽古が新国立劇場リハーサルルームで進行中だ。そして、まもなく実際に新国立劇場の舞台を使った稽古が始まる。
ここでは8月初旬に行われた立ち稽古の様子と、演出コンセプトについて紹介する。
(2018.8/1、8/3 都内稽古場 Photo:M.Terashi/TokyoMDE)
デンマーク王立歌劇場およびアン・デア・ウィーン劇場との提携公演となる本公演で演出を務めるのは、2014年9月に上演したモーツァルトのオペラ《イドメネオ》が評判となったダミアーノ・ミキエレット。
稽古初日、演出補のエレオノーラ・グラヴァニョーラがミキエレットの演出コンセプトを説明した。
■演出コンセプト(骨子)
・3つの作品に共通するのは「暗さ」と「暴力」
・「嫉妬」「女性の精神性」「皮肉と暴力」といったものが描かれている
・共通するのは、「子どもを亡くしたこと」
《外套》
・外套は「鎧」のようなもの
・港にありがちなものとして、「コンテナ」がその風景を象徴する
・三部作を通じて、「コンテナ」が変化する
《修道女アンジェリカ》
・ここは単なる修道院ではない
・聖なるものだけでなく、罰を受けた人が行き罪を反省するのが修道院
・1980年代まで実際にあった収容所のような修道院を想定
・そこには想像を絶する風景があった
・いわゆるシスターという衣裳でなく、「看守」「囚人」のような衣裳
・ここからは絶対に出られない
《ジャンニ・スキッキ》
・コンテナのなかにはいろんなストーリーと遺産も入っている
・家もコンテナ
・コミカルで楽しいが、遺産をめぐるケンカも暴力
・3つのオペラに共通するのは、場面がすべて「夜」」だということ。
・コンテナを通じて、3つの作品を“一つのまとまった作品”としてつないだ。
・一人が2、3の役を重複するのは理由がある。
・時代は「現代」
・時代を語るのでなく「テーマ」そのものを語りたい
■《修道女アンジェリカ》初日組の立ち稽古から
初日の稽古はコンセプト説明に続き、《修道女アンジェリカ》初日組の立ち稽古から始まった。
まず、演技について助演に指導。
音楽つきの稽古に入る前に、歌手陣にも各場面の説明を続ける。
離ればなれになってしまった、アンジェリカの子どもの靴。「靴」はモーツァルトの《イドメネオ》同様、ミキエレット演出で重要なモチーフとなる。
《修道女アンジェリカ》は《外套》に続けて演奏される。
《外套》のジョルジェッタが暗転ののち、《修道女アンジェリカ》のアンジェリカとして舞台に立ち、すすり泣きしている。どこからともなく聞こえてくる「鐘」の音に耳を傾ける・・・
そこは修道院。アンジェリカは「罪の象徴」である長い髪を切られ、囚人のような衣裳を着せられる。肌身離さず持っていた子どもの靴も取り上げられる・・・
礼拝に遅れてきた修道女たちが修道女長から咎められる。修道女たちはどんな罰を受けるかと、怯えている。
修練女長「地に伏して口づけなさい」
礼拝堂でバラの花を袖に隠したと、修道女長からあらぬ罪をきせられるオスミーナ。
修練女 オスミーナ「やってません!」
いつもウサギのぬいぐるみを話さず、どこか頭のおかしな感じを見せる女の子、ジェノヴィエッファ。
厳しい空気が漂うなか、急に明るく歌い出す。
ジェノヴィエッファ「太陽の光が中庭に差し込んでいるわ!三つの夕べの奇蹟が始まるわ、黄金の泉の!」
修道女たち「もう1年が過ぎてしまったのですね。ある一人のシスターが亡くなってから・・・」
修道女たちが、1年前の今日、あるシスターが自殺したことを思い出す。すると、亡くなったあるシスター(ビアンカ・ローザ)が現れ、自殺した風景が再現される。
ジェノヴィエッファ「黄金の水を持って行って注いであげては?ビアンカ・ローザさんのお墓に」
アンジェリカ「死は生を美しいものにします」
修道女長「私たちには赦されません」
■《修道女アンジェリカ》2日目組の立ち稽古から
■《デンマーク王立歌劇場とアン・デア・ウィーン劇場との提携公演》
東京二期会オペラ劇場 〈三部作〉外套/修道女アンジェリカ/ジャンニ・スキッキ
新国立劇場 オペラパレス
2018.9/6(木) 18:30 7(金) 8(土) 9(日) 14:00
スタッフ
指揮:ベルトラン・ド・ビリー
演出:ダミアーノ・ミキエレット
演出補:エレオノーラ・グラヴァニョーラ
照明:アレッサンドロ・カルレッティ
合唱指揮:冨平恭平
公演監督:牧川修一
合唱:二期会合唱団、新国立劇場合唱団、藤原歌劇団合唱部
管弦楽: 東京フィルハーモニー交響楽団
キャスト
『外套』
ミケーレ:上江隼人(9/6、9/8)今井俊輔(9/7、9/9)
ジョルジェッタ:北原瑠美(9/6、9/8)文屋小百合(9/7、9/9)
ルイージ:樋口達哉(9/6、9/8)芹澤佳通(9/7、9/9)
フルーゴラ:塩崎めぐみ(9/6、9/8)小林紗季子(9/7、9/9)
タルパ:清水那由太(9/6、9/8)北川辰彦(9/7、9/9)
ティンカ:児玉和弘(9/6、9/8)新津耕平(9/7、9/9)
恋人たち:新垣有希子(9/6、9/8)新海康仁(9/6、9/8)舟橋千尋(9/7、9/9)前川健生(9/7、9/9)
流しの唄うたい:高田正人(9/6、9/8)西岡慎介(9/7、9/9)
『修道女アンジェリカ』
アンジェリカ:北原瑠美(9/6、9/8)文屋小百合(9/7、9/9)
公爵夫人:中島郁子(9/6、9/8)与田朝子(9/7、9/9)
修道院長:塩崎めぐみ(9/6、9/8)小林紗季子(9/7、9/9)
修道女長:西館 望(9/6、9/8)石井 藍(9/7、9/9)
修練女長:谷口睦美(9/6、9/8)郷家暁子(9/7、9/9)
ジェノヴィエッファ:新垣有希子(9/6、9/8)舟橋千尋(9/7、9/9)
看護係修道女:池端 歩(9/6、9/8)福間章子(9/7、9/9)
修練女 オスミーナ:全 詠玉(9/6、9/8)高品綾野(9/7、9/9)
労働修道女Iドルチーナ:栄 千賀(9/6、9/8)高橋希絵(9/7、9/9)
托鉢係修道女I:小松崎 綾(9/6、9/8)鈴木麻里子(9/7、9/9)
托鉢係修道女II:梶田真未(9/6、9/8)小出理恵(9/7、9/9)
労働修道女II:成田伊美(9/6、9/8)中川香里(9/7、9/9)
『ジャンニ・スキッキ』
ジャンニ・スキッキ:上江隼人(9/6、9/8)今井俊輔(9/7、9/9)
ラウレッタ:新垣有希子(9/6、9/8)舟橋千尋(9/7、9/9)
ツィータ:中島郁子(9/6、9/8)与田朝子(9/7、9/9)
リヌッチョ:新海康仁(9/6、9/8)前川健生(9/7、9/9)
ゲラルド:児玉和弘(9/6、9/8)新津耕平(9/7、9/9)
ネッラ:小松崎 綾(9/6、9/8)鈴木麻里子(9/7、9/9)
ベット:大川 博(9/6、9/8)原田 圭(9/7、9/9)
シモーネ:清水那由太(9/6、9/8)北川辰彦(9/7、9/9)
マルコ:小林大祐(9/6、9/8)小林啓倫(9/7、9/9)
チェスカ:塩崎めぐみ(9/6、9/8)小林紗季子(9/7、9/9)
スピネロッチョ:倉本晋児(9/6、9/8)後藤春馬(9/7、9/9)
公証人アマンティオ:香月 健(9/6、9/8)岩田健志(9/7、9/9)
ピネッリーノ:湯澤直幹(9/6、9/8)高田智士(9/7、9/9)
グッチョ:寺西一真(9/6、9/8)岸本 大(9/7、9/9)
●入場料金(税込)
◆[9月6日(木)・8日(土)・9日(日)公演]
一般:S席 ¥17,000 A席 ¥14,000 B席 ¥11,000 C席 ¥8,000 D席 ¥5,000 学生席 ¥2,000
愛好会会員:S席 ¥16,000 A席 ¥13,000 B席 ¥10,000
◆[9月7日(金)公演]平日マチネ・スペシャル料金
一般:S席 ¥15,000 A席 ¥12,000 B席 ¥10,000 C席 ¥8,000 D席 ¥5,000 学生席 ¥2,000
愛好会会員 S席 ¥14,000 A席 ¥11,000 B席 ¥9,000
※チケットお申込みと同時に愛好会へもご入会いただけます。
※チケット購入後のお取消、日程の変更はできません。
※二期会オペラ愛好会の特典は二期会チケットセンターでチケットをご購入された場合に限り適用されます。
※学生席のご予約は二期会チケットセンター電話のみのお取扱いです。
※未就学児の入場はお断りします。
●ご予約・お問合せ
チケットスペース:03-3234-9999
二期会チケットセンター:03-3796-1831
(平日10:00〜18:00/土曜10:00〜15:00/日・祝休業)
http://www.nikikai.net/ticket/