開幕直前!東京二期会《椿姫》稽古場レポート

 東京二期会が2月19日より、ヴェルディのオペラ《椿姫》を上演する。去る2月9日、大村博美組の立ち稽古を取材した。
(2020.2/9 都内稽古場 取材・文・写真:寺司正彦)

 この日は、劇場入りを前にした稽古場での最終稽古。ジャコモ・サグリパンティの指揮、原田諒の演出のもと、ピアノ伴奏での通し稽古が行われた。 
 
 タイトルロールデビューが2002年の《椿姫》(演出:栗山昌良)だったというヴィオレッタ役の大村博美は、全幕通しでの《椿姫》の出演はそれ以来となる。
「栗山さんの演出は正調でしたけど、原田さんの演出にもそれと共通するものを感じます。最後、死に向かうヴィオレッタに一筋の光が射す・・・。原田さんがレンブラントの絵画のような舞台、とおっしゃってますけど、美しい舞台になると思います」

 10代の頃、アレクサンドル・デュマ・フィスによる原作小説を手にしたのがオペラ作品に触れる契機となったというアルフレード役の城宏憲。大村とは、2017年《トスカ》、18年《ノルマ》でともに恋人役として共演している。
「演出の原田さんからは、俳優のレベルでの“芝居”を求められます。体に芝居が染みこんでいることが前提にあって、その上で役を演じ歌う。大村さんとは《トスカ》《ノルマ》でとことん2人の関係を築きあげたので、今回もうまく稽古が進んでいます」

 原田の演出は、舞台美術・松井るみの椿の花をかたどった舞台セットで繰り広げられる。花が朽ちていくなかでヴィオレッタの移ろいが描かれる美しい舞台だ。第2幕第2場フローラの屋敷の仮面舞踏会では、宝塚歌劇団卒業生を含むダンサー10名によるダンスも披露されるなど、見どころいっぱいの舞台で、興味はつきない。

大村博美(ヴィオレッタ)


城 宏憲(アルフレード)

右:今井俊輔(ジェルモン)


中央:加賀ひとみ(フローラ)

輝生かなで(手前)、岡崎大樹(中央)




ジャコモ・サグリパンティ

左:増田弥生(アンニーナ)



【Information】
東京二期会オペラ劇場
ヴェルディ《椿姫》(新制作)(全3幕・日本語字幕付き原語(イタリア語)上演)


2020.2/19(水)18:30、2/20(木)14:00、2/22(土)14:00、2/23(日・祝)14:00
東京文化会館

指揮:ジャコモ・サグリパンティ
管弦楽:東京都交響楽団

演出:原田 諒

装置:松井るみ
衣裳:前田文子
照明:喜多村 貴
振付:麻咲梨乃

ヴィオレッタ:大村博美(2/19,2/22) 谷原めぐみ(2/20,2/23)
フローラ:加賀ひとみ(2/19,2/22) 藤井麻美(2/20,2/23)
アンニーナ:増田弥生(2/19,2/22) 磯地美樹(2/20,2/23)
アルフレード:城 宏憲(2/19,2/22) 樋口達哉(2/20,2/23)
ジェルモン:今井俊輔(2/19,2/22) 成田博之(2/20,2/23)
ガストン:高柳 圭(2/19,2/22) 下村将太(2/20,2/23)
ドゥフォール:髙田智士(2/19,2/22) 米谷毅彦(2/20,2/23)
ドビニー:北川辰彦(2/19,2/22) 伊藤 純(2/20,2/23)
グランヴィル:清水宏樹(2/19,2/22) 峰 茂樹(2/20,2/23)
ジュゼッペ:根津久俊(2/19,2/22) 吉見佳晃(2/20,2/23)
仲介人:岸本 大(2/19,2/22) 香月 健(2/20,2/23)
合唱:二期会合唱団

ダンサー:千葉さなえ、玲実くれあ、輝生かなで、栗原寧々、鈴木萌恵
     岡崎大樹、上垣内 平、宮澤良輔、谷森雄次、岩下貴史

※出演者変更
2月20日(木)と23日(日・祝)のアルフレード役にて出演を予定していた前川健生は、体調不良のため出演が不可能となりました。

問:二期会チケットセンター03-3796-1831
http://www.nikikai.net/lineup/traviata2020/