11月公演『後宮からの逃走』キャスト・メッセージ~オスミン役:加藤宏隆&斉木健詞

11月公演モーツァルト『後宮からの逃走』キャスト・メッセージ。これまで4回にわたってキャスト本人から、自身の役柄と見どころ聴きどころを紹介してきました。ラストはトルコの後宮の番人、オスミン役の加藤宏隆と斉木健詞です。

<オスミン>
「これまでの仕事ぶりがパシャ様に認められてブロンデという女を与えていただいた。もろタイプ♡なんだが、ペドリッロとかいう西洋からきた庭男が俺の女にちょっかいをかけてきやがる。ムカつくぜ!西洋の男はいつ見ても、女のお尻を追いかけているか酒を飲んでいるかのどちらかだな。いったいいつ仕事しているんだ!?」(by斉木オスミン健詞)

トルコ人のオスミンは、他の4役が高声の西洋人であることに対して、ひとり低声のソロ役で異文化のキャラクターを歌い演じます。粗野で暴力的で頑固でありながら気弱な面も見せる。表現する幅が広い分、高い歌唱力も要求されるオスミンに、今が旬のバスが臨みます。

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加藤宏隆 (かとう ひろたか)
11月22日(木)・24日(土)出演

アメリカとイタリアでオペラを学んだ加藤は、ヴェルディ『ドン・カルロ』宗教裁判長という大役で東京二期会デビューを果たし、今年は7月にウェーバー『魔弾の射手』カスパールを好演した注目の若きバス・バリトンです。説得力ある声の魅力もさることながら、先のカスパールでみせた演技力にもご期待ください。

《オスミン役について》
加藤: オスミンはトルコの太守セリムにつかえる番人です。非常に頭が固く、よそ者には常に不信感を抱き、とても粗暴な性格をしています。セリムから与えられたブロンデに恋心を寄せていますが、自分の範疇に無いリベラルな考え方をするイギリス人のブロンデに翻弄され、情けない一面を見せたりもします。

《オスミンの見どころ・聴きどころ》
加藤: 歌手の視点からみると、どのキャラクターにおいても技巧的な歌唱が多く出てくることが、このオペラの最初の魅力だと感じます。オスミンですと、非常に早口で歌うところもありますし、また音域は全体的に広く、アリアでは下のレの音まで出てきます。他のオペラの中でここまで低い音を歌った経験は今までにありません。それだけに歌い甲斐のある役とも言えるのですが。

《このオペラのテーマ、メッセージ》
加藤: このオペラには現代の我々にも通じる、とても明確な普遍的テーマを内包していると思います。物語は相反するものの対比がいくつか描かれています。この対比の先にあるものが「赦し」です。この「赦し」をどう捉えるか、これは時代を越えた我々への問いかけ、課題であるように思います。


東京二期会オペラ劇場 2018年7月公演 ウェーバー『魔弾の射手』より
カスパール役 加藤宏隆

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斉木健詞 (さいき けんじ)
11月23日(金・祝)・25日(日)出演

先月、共同制作公演『アイーダ』のランフィスを歌い、全国満員御礼の公演の成功に大きく貢献したばかり。豊かな声と抜群の容姿で、東京二期会のみならず新国立劇場、兵庫県立芸術文化センター、びわ湖ホール、日生劇場ほか、第一線のオペラの舞台に欠かせないバスとして活躍が続いています。加藤宏隆とは2014年東京二期会『ドン・カルロ』以来のダブル・キャスト競演。

《オスミン役について》
斉木: オスミンを表現するキーワードは「剛腕、酒、女性」でしょうか。
実は、仕事ができる優秀な人物だと思います。だからこそ、太守セリムに可愛がられ、信頼も厚い。後宮の番人としての今の地位を得ているのです。ブロンデは、そんな仕事ぶりが認められた「褒美」としてオスミンに与えられたものでした。

《オスミン役の見どころ、聴きどころ そして このオペラのテーマとメッセージ》
斉木: とにかく、超早口と超低音!同じモーツァルトのオペラでも、『フィガロの結婚』バルトロより早口で、『魔笛』ザラストロよりはるかに低い音域を歌わなければならない、難役です。
今回の演出では、オスミンも若者で、愛を探しています。
オスミンのことは、たいていどのように考えられているでしょう。オスミンにとって女性は所有物であり、その扱いは乱暴で、粗暴。そのように思われていないでしょうか。
では、彼に愛は無いのでしょうか?西洋の価値観、西洋の愛だけが、愛なのでしょうか?
オスミンを通して、このオペラの、今回の舞台のテーマが見えてくると思います。
ぜひ、ご来場ください!


2013年5月 東京二期会オペラ劇場 ヴェルディ『マクベス』より
バンコー役 斉木健詞

2018.11/22(木)18:30
2018.11/23(金・祝)、11/24(土)、11/25(日)14:00
日生劇場

指揮:下野竜也
演出:ギー・ヨーステン
舞台美術:ラモン・イバルス
管弦楽:東京交響楽団


●キャスト

11月22日(木)/24日(土) 11月23日(金・祝)/25日(日)
太守セリム 大和田伸也 大和田伸也
コンスタンチェ 松永知史 安田麻佑子
ブロンデ 冨平亜希子 宮地江奈
ベルモンテ 金山京介 山本耕平
ペドリッロ 升島唯博 北嶋信也
オスミン 加藤宏隆 斉木健詞


●入場料金(税込)

S席 A席 B席 学生席
一般 ¥15,000 ¥13,500 ¥9,000 ¥2,000
愛好会会員 ¥14,000 ¥12,500

※チケットお申込みと同時に愛好会へもご入会いただけます。
※チケット購入後のお取消、日程の変更はできません。
※二期会オペラ愛好会の特典は二期会チケットセンターでチケットをご購入された場合に限り適用されます。
※学生席のご予約は二期会チケットセンター電話のみのお取扱いです。
※未就学児の入場はお断りします。

●ご予約・お問合せ
チケットスペース03-3234-9999
二期会チケットセンター03-3796-1831 (FAX 03-3796-4710)
受付時間:平日10:00〜18:00/土曜10:00〜15:00/日・祝休業