<ベルモンテ>
ベルモンテは、18世紀スペイン貴族の青年。トルコにさらわれた婚約者コンスタンツェを救出するため果敢に異国の地へ乗り込みます。
モーツァルトは、ベルモンテにアリアを4曲用意しました。コンスタンツェへの愛と救出の決意、そして不安を表す1幕の二つのアリア、コンスタンツェとの再会を喜ぶ、そして、いよいよ後宮を脱出せんとするときの心情を独白する3幕のアリアといずれも聴き応え十分です!
『魔笛』のタミーノ王子にも似て、いえタミーノ以上に、溌剌とした細かいパッセージとともに息の長い優美なレガートを多用した音楽で書かれていて、一途で勇敢でありながら、どこか優雅で王子様気質を感じさせるベルモンテ。二期会のふたりのプリンス・テノールは、どのように感じているでしょうか。
金山京介 (かなやま きょうすけ) 11月22日(木)・24日(土)出演 2015年東京二期会『魔笛』タミーノで鮮烈なデビュー。そのとき演出の宮本亜門からも「オペラ界の貴公子」と称された逸材。その歌唱力と演技と舞台容姿に、新世代のモーツァルト・テノールとして大きな注目を集めています。 |
《ベルモンテ役について》
金山: 彼のキャラクターを考える上で一番強く感じるのは「若さ」でしょうか。若さゆえの行動力、若さゆえの熱情、若さゆえの向こう見ずなど、良くも悪くも「若さ」から来る感情で動いている人物と考えています。
《『後宮からの逃走』の見どころ・聴きどころ》
金山: 何といってもこのオペラはアリアがとても多いです。ダブルキャストですと両日の歌い手により演技、表現などは変わるものですが、アリアが多いということは、それだけ作品として違う面をお届けできるのではと思います。ぜひ両日ご覧頂き、キャストによる違いをお楽しみください。
《『後宮からの逃走』テーマ、メッセージ》
金山: この作品の大きなテーマの一つは「赦し」だと思います。人としての倫理的な「赦し」だけでなく、恋人同士の愛の「赦し」などいくつかの「赦し」をもって物語が進んでいく。これは現代にもよくみられる共通のテーマと思います。
東京二期会2015年7月公演『魔笛』より(撮影:三枝近志)
タミーノ 金山京介(左)、パミーナ 嘉目真木子
山本耕平 (やまもと こうへい) 11月23日(金・祝)・25日(日)出演 二期会オペラ主演デビューとなった2014年『ドン・カルロ』で、テノール福井 敬とのダブルキャストでドン・カルロ役を務め上げ、翌年『リゴレット』のマントヴァ公爵役の座もオーディションで勝ち得た山本。さらにその後、3年にわたるイタリアでの研修を経て、今回のベルモンテは、いわば日本再デビューです! |
《ベルモンテ役について》
山本: 人間関係が変化していく中で一貫した立場を取り続ける軸のような役割を持っている役だと思います。人物としては、慎重が求められる救出作戦中でも、自分の召使が悪く言われているのを聞いて
「いいや、あいつは良いやつだ」とかばってひと悶着起こしてしまうあたり、とてもいい人なのではないかと感じています。
コンスタンツェには尻に敷かれるタイプでしょう。
《見どころ、聴きどころ》
山本: 聴きごたえのある難易度の高いアリアが各役に割り当てられています。
ソプラノとテノールが2組という面白い編成でいつの世も変わらない男女のやりとりが面白おかしく描き出されている4重唱や、当時の聴衆にとってエキゾチックに響いただろうモーツァルトによるトルコのエッセンスなど、聴きどころは枚挙に暇がありません。
《このオペラのテーマ、メッセージ》
山本: 拒絶ではなく対話、報復ではなく許しを選ぶことが出来れば人は分かり合える、という大きなメッセージの後ろに、
「わからないものや、自分と違うものは怖いけれど、だからこそちょっと魅力的に映るよね!」
というモーツァルトの軽やかな遊び心が聴こえるように感じます。
人との違いをどう愛し楽しむかは自分次第だよ、ということかもしれません。
東京二期会2014年2月公演『ドン・カルロ』より(撮影:三枝近志)
ドン・カルロ 山本耕平(中央)
■ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
《後宮からの逃走》オペラ全3幕 《新制作》
2018.11/22(木)18:30
2018.11/23(金・祝)、11/24(土)、11/25(日)14:00
日生劇場
指揮:下野竜也
演出:ギー・ヨーステン
舞台美術:ラモン・イバルス
管弦楽:東京交響楽団
●キャスト
11月22日(木)/24日(土) | 11月23日(金・祝)/25日(日) | |
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太守セリム | 大和田伸也 | 大和田伸也 |
コンスタンチェ | 松永知史 | 安田麻佑子 |
ブロンデ | 冨平亜希子 | 宮地江奈 |
ベルモンテ | 金山京介 | 山本耕平 |
ペドリッロ | 升島唯博 | 北嶋信也 |
オスミン | 加藤宏隆 | 斉木健詞 |
●入場料金(税込)
S席 | A席 | B席 | 学生席 | |
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一般 | ¥15,000 | ¥13,500 | ¥9,000 | ¥2,000 |
愛好会会員 | ¥14,000 | ¥12,500 |
※チケットお申込みと同時に愛好会へもご入会いただけます。
※チケット購入後のお取消、日程の変更はできません。
※二期会オペラ愛好会の特典は二期会チケットセンターでチケットをご購入された場合に限り適用されます。
※学生席のご予約は二期会チケットセンター電話のみのお取扱いです。
※未就学児の入場はお断りします。
●ご予約・お問合せ
チケットスペース03-3234-9999
二期会チケットセンター03-3796-1831 (FAX 03-3796-4710)
受付時間:平日10:00〜18:00/土曜10:00〜15:00/日・祝休業