佐藤美枝子のジルダ役をはじめ話題満載の舞台
近年、歌手陣の充実ぶりが話題となっている藤原歌劇団。2月に行われる新制作による《リゴレット》では、ジルダを佐藤美枝子が歌うという。佐藤といえば、押しも押されもせぬ藤原歌劇団のプリマドンナであると同時に、日本を代表するソプラノ・リリコ・レッジェーロのひとり。常に自分を厳しくコントロールし、舞台では最上のパフォーマンスを提供する彼女の姿勢からは、“歌い手”としての自負と責任感が伝わってくる。そんな佐藤のジルダだ。アリア〈慕わしい人の名は〉が楽しみなのはもちろんのこと、恋人と父親との間で板挟みになる女性像をどう演じるのかも含めて、世界にも通用するような“超一流のジルダ”が観られることを期待したい。
佐藤ジルダ組のリゴレットは、奥行きのある歌声と役に対する真摯な姿勢が素晴らしい須藤慎吾。そしてマントヴァ公爵は、日本人離れした声で大人気のスター・テノール笛田博昭。他にもスパラフチーレに伊藤貴之、マッダレーナに鳥木弥生といずれも本格派揃い。もちろん別組も、ベルカントの名手でありながら近年その幅を広げて躍進してきた光岡暁恵による充実のジルダ、ヴェルディ・バリトンとして定評のある上江隼人など、聴き逃せない歌手の名前が並んでいる。これはどちらの組も聴きたくなる人が多いのではないか。
指揮は、近年オペラ指揮者として心境著しい柴田真郁。演出は藤原歌劇団ではおなじみの松本重孝。“イタリア・オペラの藤原”の名にふさわしい《リゴレット》の上演が待ち遠しい。
文:室田尚子
(ぶらあぼ2020年2月号より)
2020.2/1(土)、2/2(日)各日14:00 東京文化会館
2/8(土)14:00 愛知県芸術劇場
問:日本オペラ振興会チケットセンター03-6721-0874
https://www.jof.or.jp/performance/2002_rigoletto/