深作健太監督が演出、東京二期会《ダナエの愛》日本初演

 2015年10月2日、東京二期会が舞台版日本初演するR.シュトラウスのオペラ《ダナエの愛》。去る9月30日に行われたGP(最終総稽古。小森輝彦&福井敬&林正子組)の模様をご紹介。
(2015.9.30 東京文化会館  撮影:M.Terashi/TokyoMDE[第1幕]、中村風詩人[第2、3幕]) 

 東京二期会が舞台版としては日本で初めて上演する、R.シュトラウスのオペラ《ダナエの愛》(コンサート形式では06年、若杉弘指揮で日本初演)。世界でもこれまで上演は数えるほどしかない。なぜこれほどまでに上演されてこなかったかは謎だ。しかし、人気作である《ばらの騎士》《サロメ》《アラベッラ》《エレクトラ》等々にひけを取らないどころか、もしかしたらこれが最高傑作ではないか?とさえ思えるほど、音楽的に充実した作品だ。

 作曲者自身の指揮で1944年、ザルツブルク音楽祭で初演を迎えるはずだったが、GP(最終総稽古)まで至りながらも第二次世界大戦末期の戦禍のさなか中止せざるを得ず、存命中には上演に至らなかった、いわく付きの作品でもある。
 稽古が終わり、「今度再会するときには、より良い世界で会いましょう」というシュトラウスの言葉(戦後1952年8月14日、クレメンス・クラウスの指揮で公式に初演された際の演出家、ルドルフ・ハルトマンが書き残したシュトラウスの言葉)が、現在でも痛々しい。

 詳しいあらすじや、今回の演出を担う映画監督の深作健太による演出コンセプトなどはこれまでWEBぶらあぼで紹介してきたレポート(稽古場レポートvol.1vol.6)やぶらあぼインタビューをご覧いただくとして、この作品、ワーグナーの「ニーベルングの指輪」のパロディであることは間違いない。
 ちょうど昨日から新国立劇場では「ニーベルングの指輪」の序夜《ラインの黄金》が上演されているが、どちらもキーワードは〈黄金と愛〉〈神々と人間〉、そして、〈さすらい人〉〈ラインの乙女たちと4人の王女〉などなど、比較して挙げればきりがない。そして、どちらも

「愛を断念することでしか黄金が手に入らない=黄金をあきらめることで愛を成就する」

 R.シュトラウスが戦禍のなか書きたかったのは、深作監督も言うように「人間にとって必要な、ささやかな愛」だ。
 「ニーベルングの指輪」も大作ゆえなかなか上演されることがないが、こちらの《ダナエの愛》も日本で今後いつ観られるかわからないから、貴重な体験となるだろう。
 指揮はR.シュトラウスを得意とする準・メルクル。管弦楽は同時期に《ラインの黄金》《ダナエの愛》で奮闘する東京フィルハーモニー交響楽団。


【第1幕】

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【第2幕】

【第3幕】

『深作健太アフタートーク』
◆日時:10月3日(土)公演終了後 約60分
◆会場:東京文化会館大ホール内
◆出演:深作健太[進行]大野徹也(『ダナエの愛』公演監督)

R.シュトラウス
オペラ《ダナエの愛》全3幕 <舞台上演日本初演>
日本語字幕付き原語(ドイツ語)上演
上演時間3時間20分を予定(途中2回休憩あり)

2015年10月2日(金) 18:30 3日(土) 14:00 4日(日) 14:00 東京文化会館 大ホール

指揮:準・メルクル
演出:深作健太
装置:松井るみ
衣裳:前田文子
照明:喜多村 貴

ユピテル 小森輝彦(10/2、4)大沼 徹(10/3)
メルクール 児玉和弘(10/2、4)糸賀修平(10/3)
ポルクス 村上公太(10/2、4)高田正人(10/3)
ダナエ 林 正子(10/2、4)佐々木典子(10/3)
クサンテ 平井香織(10/2、4)佐竹由美(10/3)
ミダス 福井 敬(10/2、4)菅野 敦(10/3)
ゼメレ 山口清子(10/2、4)北村さおり(10/3)
オイローパ 澤村翔子(10/2、4)江口順子(10/3)
アルクメーネ 磯地美樹(10/2、4)塩崎めぐみ(10/3)
レダ 与田朝子(10/2、4)石井 藍(10/3)
4人の王&4人の衛兵 前川健生(全日)鹿野浩史(全日)杉浦隆大(全日)松井永太郎(全日)

合唱: 二期会合唱団
管弦楽: 東京フィルハーモニー交響楽団

S13,500 A12,500 B10,000 C¥8,000 D¥6,000 学生席¥2,000

問:二期会チケットセンター03-3796-1831
http://www.nikikai.net/

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