【18年3月定期】バッティストーニと小曽根真

 バッティストーニが東京フィルとの”最初の”シーズンを締めくくるコンサートに用意したのは、実に刺激的で触発的、何より彼らしいプログラムだ。
 まず、ジャンルを超えて大活躍する小曽根真を迎える曲として、フリードリヒ・グルダの、知る人ぞ知る「コンチェルト・フォー・マイセルフ」を選んだ。バッティストーニは、グルダが“彼自身のため”に作曲したこの自由な音楽に、小曽根真ほどの適任者はいないことをよくわかっているのだ。この曲は他ジャンルの聴き手にはオーケストラへの招待となり、クラシック音楽ファンには“挑発”ともなるだろう。
 そしてラフマニノフの旋律美も極まった交響曲第2番によって、バッティストーニと東京フィルが積み重ねてきたロシア音楽演奏はひとつの頂点を作る。前後半のコントラストも鮮烈なプログラムで、彼らはこれまで作り上げてきた音楽の最良の成果を示す。そしてこの演奏会を新たな起点として、バッティストーニと東京フィルはさらなる高みへと向かっていくのだ。

C)上野隆文

C)上野隆文

C)大杉隼平

C)大杉隼平

第905回オーチャード定期演奏会
2018年3月11日(日)15:00開演 Bunkamura オーチャードホール

第116回東京オペラシティ定期シリーズ
2018年3月7日(水)19:00開演 東京オペラシティ コンサートホール

第904回サントリー定期シリーズ
2018年3月9日(金)19:00開演 サントリーホール 大ホール

指揮:アンドレア・バッティストーニ
ピアノ:小曽根 真*

グルダ/コンチェルト・フォー・マイセルフ*
ラフマニノフ/交響曲第2番
問:東京フィルチケットサービス03-5353-9522(平日10:00〜18:00)