東京フィルの新シーズン、首席指揮者アンドレア・バッティストーニと迎える初夏の定期演奏会に選ばれた作品は、意外にも、ショスタコーヴィチを中心としたロシア・ソヴィエトの名作集。
まず1曲目は、ボロディンの歌劇《イーゴリ公》より“だったん人の踊り”。バッティストーニのエネルギーとカンタービレが爆発する豪演になることうけあいだ。
続くのは、20世紀協奏作品の最高傑作のひとつ、ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番。ソリストは1970年モスクワ生まれのパヴェル・ベルマン。彼の父親は、あの伝説的名ピアニスト、ラザール・ベルマンだ。巨匠の血を受け継いだパヴェルは、17歳でパガニーニ国際コンクール第2位、20歳でインディアナポリス国際コンクールのゴールドメダル受賞、近年は指揮者としても活動している才人である。ソヴィエト時代を生きた名手が、本作に込められた深い情感と、超絶技巧を伴う熱狂を、バッティストーニとの相乗効果で存分に示してくれるだろう。
そしてメイン曲は、ショスタコーヴィチの代表的傑作、交響曲第5番。初めて聴く人でも存分に楽しめる名作であると同時に、様々な解釈や考え方が可能な底知れない問題作でもあり、これをバッティストーニがどう構築するのか注目したい。指揮者の実力が露わになる本作、凄まじい名演になる予感が漂う。
●第908回 サントリー定期シリーズ
2018.5/31(木)19:00 サントリーホール
●第118回 東京オペラシティ定期シリーズ
2018.6/1(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
●出演
指揮:アンドレア・バッティストーニ
ヴァイオリン:パヴェル・ベルマン*
●曲目
ボロディン:歌劇『イーゴリ公』より“だったん人の踊り”
ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番*
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番